今日の更新は、天沢退二郎『光車よ、まわれ!』です。
TVアニメ「電脳コイル」のインスピレーション元のひとつらしいので読んでみました。
同じく天沢退二郎さんの『光車よ、まわれ!』
— 磯光雄IsoMitsuo「電脳コイルアーカイブス」発売中! (@IsoMitsuo) 2019年5月16日
上のオレンジ党シリーズと並んで代表作とされる、子供達があやかしと戦うジュブナイルの幻想小説です。
挿絵は旧版のMARREさんも素晴らしかったのですが、新装版では大好きなスカイエマさんでニッコリ。https://t.co/y5AnU4Dfoa pic.twitter.com/OANGTKjbhv
あらすじ
クラスメイトがおかしな姿に見えた一郎は、龍子という変わった少女に出会う。彼女らは謎の勢力と戦うため、「光車(ひかりぐるま)」というアイテムを探すグループだった。一郎はそこに加わり、光車探しに身を投じていくことになる。
子どもたちのうすら寒い呪術的戦い
悪夢の中のような薄ら気味悪い描写が特徴的でした。闇の中に住む小人たち、クラスメイトの姿が変わってしまう恐怖。特別グロデスクではないけれど、不安を掻き立てられます。
あまり詳しく説明されないところもあり、それが作品のおどろおどろしさに拍車をかけています。
そのような怖い敵と、この世ならざるものを見る目や、子どもたちの機転で戦っていくのは面白かったです。
危機一髪の連続なので、読んでいてはらはらし続けました。そして、取り返しのつかないシーンがあったり……予想がつかない作品です。わりと容赦がない。
龍子がひどく大人びていることが気になっていましたが、最後まで読むとなるほどなと思います。でも、あの人とあの人は何だったんだ。
正直わかりやすい話ではないというか、現代っぽい明確な理由付けがなされていない小説でした。でも、それが個性的ではあります。
呪術的なものを用いて少年少女を率いるボスの女の子、というのが電脳コイルにインスピレーションを与えたところなんでしょうね。
龍子の独特のカリスマはかっこいいです。意味深で人を率いる能力があって、底知れない何かを持っている。彼女の存在がストーリーを引き締めていました。
まとめ
世界観や描写が面白い作品でした。ちょっと怖い児童文学が好きな人にはおすすめです。
装丁や挿絵も作品に合っていてよかったです。
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(P[あ]2-1)光車よ、まわれ! (ポプラ文庫ピュアフル)
- 作者: 天沢退二郎
- 出版社/メーカー: ポプラ社
- 発売日: 2010/03/08
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