今日の更新は、小道迷子・渡邉豊沢『中国人女子と働いたらスゴかった』です。
あらすじ・概要
著者の上司は、小鳥を売っていた女性小鳳(シャオフォン)を中国でスカウトする。一緒に仕事をすることになった著者は、彼女との文化の違いに困惑する。しかし、本当に日本の文化が正しいのだろうか……?
弱肉強食の土地に生まれて
とにかく中国人との文化的ギャップが面白いです。小鳳は、自立心が強く、日本におけるマナーや思いやりに疑問を呈します。
お疲れさまという言葉にはこの反応。
「小鳳さん午前中の健康診断お疲れさまー」
(健康診断なんて仕事じゃないのに「お疲れさま」って……この日本猫嫌みだらけね……)
電車で「電車に遅れが発生しています」や「黄色の線の内側までお下がりください」など、繰り返されるアナウンスに一言。
「ワタナベはずーっと命令されてて腹立たないの?」
(中略)
「乗客を子供あつかいしてるよ」
(P113)
日本人にとってはカルチャーショックなんですが、読んでいるうちに「どうして日本人はこんなに従順でおとなしいんだ……?」という気分になってきます。
日本におけるビジネスマナーや思いやりは一歩海外に出てしまえば、当たり前ではないのです。何でもかんでも郷に入っては郷に従えと思う必要はないですが、考え方の違いを知っておくのは重要だということに気付きました。
小鳳は、交渉事がうまく、最初に著者も小鳥を買わされています。終盤の展示会では、展示会場に来た顧客に1万台の契約をもぎ取ります。
その半分騙すようなやりとりも、ここまで読むとひとつの文化なんだなと思えてきます。駆け引きを常にやり続けていれば、ちょっとした確認間違いも「油断した方が悪い」となるんでしょうね。弱肉強食の土地だ……。
全体的に「違い」を揶揄するところはなく、いいところも悪いところも淡々と描いているところがよかったです。
異文化コミュニケーションの中で生まれる日本への疑問を感じる作品でした。
『中国人女子と働いたらスゴかった』まとめ
とにかくパワフルに異文化に圧倒されました。それでいて、揶揄するようなところがなく読みやすかったです。
中国の文化や、日本に来た中国人の疑問を知りたい人にはおすすめです。