今日の更新は、ゆるゆらり『アラフィフでヘルパーはじめました』です。
あらすじ・概要
姑との二世代同居で苦労をしていた著者。「働いて外に出たらどや?」という夫の一言から一念発起し、介護の業界を目指す。しばらく障害児のデイサービスで働いていたが、介護福祉士の資格を取って高齢者のデイサービスへ。そこでは、さまざまな人間ドラマが繰り広げられていた。
介護のポジティブさを前面に押し出す心意気がいい
基本的にポジティブな内容で、介護業界で想像されがちなきつい・過酷・ストレスフルという雰囲気ではありません。
もっとも、ところどころで言外に苦労をしているのだろうなということは察することができます。転倒や事故など仕事の中のヒヤリとするシーンや、利用者に怒鳴られるシーンなど、さりげない場面ではありますが、実際には恐ろしいでしょう。
つまり、そういう苦労があっても著者は介護のポジティブな面、仕事の楽しさを前面に押し出しているのです。その心意気は非常にかっこよくて好きです。
他に働ける場所がなかったから、ではなく、とても前向きに仕事をしている人は見ていて元気が出ます。自分と関係のない仕事をしていても尊敬できますね。
著者の描く認知症の人々は、記憶や習慣を失い、感情をコントロールできなくなりながらも、心の底で「誰かの役に立ちたい」と行動しています。
他の利用者の介護を手伝おうとする女性、工事現場で仕事していたころの自分に戻って現場の心配をする男性、喧嘩になりそうなとき仲裁に入る女性。
さまざまなものを失いながらも、人間らしさをすべてなくしたわけではない。そんな姿は切なくもいとおしいです。
老いは苦しいけれど、決してそれだけではないという希望が持てる作品でした。
『アラフィフでヘルパーはじめました』まとめ
現実にはこんなきれいな話ばかりではないと思いますが、苦しい老いの中にいる利用者の中にも希望を見出そうとする姿勢はかっこよかったです。
こういうポジティブな視点を持てるのなら、介護って素敵な仕事ですね。