今日の更新は、橋本治『ちゃんと話すための敬語の本』です。
あらすじ・概要
親や先生は、「ちゃんと敬語を使いなさい」と言う。しかし、敬語は何のために使うものなのか。日本の敬語の歴史を紐解きつつ、現代の敬語が何のためにあるのかを解説する。そこには、日本の身分制度や、人と人との距離感にまつわる秘密があった。
「敬語って何だろう?」という質問に対する答え
まずこの本は敬語講座ではないので、敬語の使い方を調べたい人は他の本を探しましょう。
ではどんな本なのかというと、「なぜ敬語を使わなければならないのか」という理由を一冊かけて説明しています。
「そんな当たり前のこと?」と思いつつ、はっきり答えられる人は少ないのではないでしょうか。
敬語は昔の身分制度の名残り。だからこそ、正確に使おうとすると「お召しによりまして参上仕りしてございます」という長ったらしい時代劇のような言い回しになると著者は言います。
「正しく使いすぎると時代劇になる。だから、いいかげんにテキトーに使え」
(P39)
とぶっちゃけた言い方にはちょっと笑いました。
年が下るにつれ、日本の身分制度はどんどんなくなってきています。だから、敬語がなくなっていくのも自然の流れなのでしょう。
けれど、敬語は身分差だけではなく「私とあなたの間には距離がある」ということを示す言葉でもあります。
「丁寧の敬語」は、「どっちのランクが上か」ということとも、関係がありません。好きとか嫌いとは関係がなくて、ただ、「その人との間には距離がある」というだけなのです。
(P116)
不快な距離感にならないために敬語を使おう、ということがはっきり示されているところが実用的でわかりやすかったです。
著者が一意見を述べているだけなので、内容の正確性にはちょっと疑問があります。けれど子どもから「なぜ敬語を使わなきゃいけないの?」と聞かれたときに参考にするには最適な本だと思います。
『ちゃんと話すための敬語の本』まとめ
漠然と考えていた「敬語って何だろう?」という疑問に具体的なアンサーをくれる本でした。
敬語について調べている中高生にはおすすめです。