あらすじ・概要
集団に参加できない、人と話すのが苦手……人とどこか違う著者の息子。彼は実は、発達障害だった。ことばの教室や通級教室などの教育サービスの助けを経て、少しずつ成長していく彼。母親の苦悩を描きながら、親が何ができるかを問うコミックエッセイ。
発達障害を持つ子の母親の不安と希望
発達障害を持った母親の不安、焦り、周囲の反応が描かれていて参考になりました。
当たり前なのだけれど親だってひとりの人間で、迷いもすれば失敗もします。そういう弱さを描きつつ、周囲の助けを借りながら息子と前に進んでいく姿に励まされました。
うじうじしたり、怒ったりしながら作品自体に暗い雰囲気はありません。それは、著者が自分の感情を客観的に見て、エッセイ作品として昇華しているからでしょう。
個人的に面白かったのは役割分担のシーン。
息子を支援学級に通わせるかどうか悩んだとき、著者は夫マサオに思いをぶつけてしまいます。しかしそれがストレスになって夫は苦しくなりました。
そこで著者が気づいたことは、役割分担をすることの重要さです。
「温度差があっていいのよ
てか、その温度差が大事なんだわ…」
(中略)
「私が道を開くから一緒に進んでくれる?」
(P74)
「私が決めるからあなたは支えてほしい」とはっきり言える関係はすばらしいですね。
今は何かと育児も家事も五分五分に分担しようという風潮ですけれど、お互いに相手の仕事にリスペクトを持てるなら、男は仕事女は家事でもかまわないと思います。
そしてそういうリスペクトの意思を持つことが一番難しい。それができた著者夫婦はかっこよかったです。
『うちの子って発達障害!? ただいま子育て迷走中』まとめ
「発達障害の親というのはこういうことが不安なんだな」ということが描かれていて参考になりました。
さくっと読めて面白かったです。