ブックワームのひとりごと

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小市民の枠をはみ出しつつあるふたり―米澤穂信『巴里マカロンの謎』

巴里マカロンの謎 (創元推理文庫)

今日の更新は米澤穂信『巴里マカロンの謎』です。

 

あらすじ・概要

恋愛関係でも友情関係でもなく、互恵関係で交流している小佐内さんと「ぼく」こと小鳩くん。ふたりで限定のマカロンを食べに行くと、三つのはずのマカロンが四つになっていた。表題作「巴里マカロンの謎」ほか、お菓子と謎解きをテーマにした小市民シリーズ最新刊。

 

面白いけどもはや小市民じゃなくない?

小佐内さんと「ぼく」の関係としては何も変わらず、互恵関係がお菓子とともに続く話でした。でもその「いつも通り」が心地よかったです。

しかしながら、小佐内さんと小鳩くんは「小市民」の枠を大きくはみ出していませんか? 読者としては面白いですが、本人の自認や意向としてはどうなのだろうと心配になります。もう普通の探偵では。

 

ストーリーには関係ないのですが、最初の刊行からだいぶ時間が経ってしまったゆえ、キャラクターが「携帯電話」を持っているのが感慨深いです。当時はスマホがまだ一般的ではなかったですもんね。

息の長い現代もの作品はいつの間にか過去の話になっています。

 

◎ここからネタバレ◎

 

今回のキーパーソンはパティシエ古城の娘であり、中学生の秋桜(こすもす)。「巴里マカロンの謎」で小佐内さんに助けられたことから彼女を慕うようになります。

彼女にいたたまれないことが起こるのかと思いきや、きれいにまとまって意外でした。このシリーズでは一番読後感がいいのでは。

特にラストのお菓子に囲まれてご満悦の小佐内さんがかわいくて面白くて最高でした。性格は悪いけれど、今回はまともに探偵役をこなしたのでこのくらいのごほうびはあっていいですよね。

 探偵ふたりは相変わらずいけすかない、鼻持ちならないふたりですが、そんなふたりでもたまには人を救うことがあるのだな、とさわやかな気分で読了しました。

巴里マカロンの謎 (創元推理文庫)

巴里マカロンの謎 (創元推理文庫)

  • 作者:米澤 穂信
  • 発売日: 2020/01/30
  • メディア: 文庫
 
春期限定いちごタルト事件 (創元推理文庫)

春期限定いちごタルト事件 (創元推理文庫)

  • 作者:米澤 穂信
  • 発売日: 2004/12/18
  • メディア: 文庫