今日の更新は、柏木惠子『子どもという価値 少子化時代の女性の心理』です。
あらすじ・概要
「子どもの価値」の大きい小さいを口にすることはタブーとされている。しかしながら、次代の変遷によってその価値が変わりつつあるのは確かである。世代間のデータを参照しながら、現代社会に生きる女性にとっての「子どもの価値とは何か」に切り込んだ本。
こんな人におすすめ
- 少子化時代の女性の生き方について興味がある人
- 子どもに価値を見出していない人
- ジェネレーションギャップを知りたい人
子どもが絶対的価値でない世の中の到来
結論に関しては私が普段考えていることと似ていましたが、データや資料に基づいて言語化してもらえるのはありがたいです。
時代、年収、知的レベル、そして国や地域によって、「何のために子どもを産むのか」は違いがあります。それなのに、子育て支援策は一面的で多様性に欠けるし、何かあれば親のせいばかりにされます。そりゃ少子化も進むわな、という気持ちです。
こんなことを言うと怒られるかもしれないんだけれど、子ども、もっと気楽に産んでもいいものになればいいと思います。もちろん親の義務はあるのだけれど、多少親がだめでもちゃんと子どもが育つような社会の方が少子化は止まると思います。
というか、約二十年前に出版されたこの本の内容が今でも通用してしまうところに日本の家族政策のヤバさを感じますね。
子どもを「つくる」「つくらない」を選べる世の中では、子どもは絶対的な価値ではなく、選択肢のひとつでしかない。システムや法律を作るときはそれをきちんとわきまえる必要があります。
今は女性も自立すべきという風潮が強くなっています。しかしながら家庭は、自立を望む女性にとって生きやすいところではない。その矛盾を解消しない限り、晩婚化も少子化も終わらないのでしょう。
なかなか悲しくなる本でした。