今日の更新は、『Thunderbolt Fantasy 東離劍遊記2』です
あらすじ・概要
魔剣が封印された巻物を持って旅をする殤不患(しょうふかん)。彼を追って故郷、西幽(さいゆう)から刺客が差し向けられる。護印師の城に目録を預けたのはいいものの、毒使いの蠍瓔珞(かつえいらく)に剣を二本奪われてしまう。殤不患は、元相棒の浪巫謠(ろうふよう)とともに魔剣を追う。
ひねりがありつつ気楽に見られるエンタメ作品
基本手堅く進行していた前作と違って、いろいろな挑戦をしていて面白かったです。
例えば浪巫謠というキャラは、主題歌を歌っている西川貴教が声を当てています。主要キャラなのにプロの声優が声を当てないという意外なキャスティングですが、これがなかなかどうしてうまく作用しています。
まず浪巫謠は極度の無口キャラで、常に二言三言ぼそっとしゃべるだけ。彼の心情はしゃべる琵琶が代弁しています。これによって演技指導のコストが下げられます。
そして浪巫謠は音と声で戦う吟遊詩人という設定なので、ここぞという戦闘シーンで歌いだします。そうこれは、歌手を声優にする意味がある!
見事な当て書きでほれぼれしました。
ストーリーそのものもあえて王道から外してきていて、ひねりが面白かったです。ベタな展開にせずに、そ、そう来たかー!!という展開でした。
それでいてへらへら笑って見られる軽さもあり、だらだら見るのに最適でした。無辜の人がいっぱい死ぬので罪がないとは言いがたいんですが、バッタバッタなぎ倒されていくところは爽快感があります。
前作のキャラも今作のストーリーを邪魔しない程度に、しかし印象的に出てきてくれてうれしかったです。夫婦が仲良しそうで何より。
◎ここからネタバレ◎
今作で最高だったのは嘯狂狷(しょうきょうけん)のオチですよ……悪党の鼻を明かすことが生きがいの凜雪鴉(りんせつあ)を精神的にけちょんけちょんにした男。最終的に死にはしますが、悪党としては勝ち組ではないでしょうか。
彼は最後まで自分の生きたいように生きているので、最後は気持ちよかったです。
レッドドラゴンを読んでいるので七殺天凌が出た時点で諦空のオチは予想していたのですが、ここでも元気にヤンデレをしていて笑いました。
語彙力はあるから一見美しく見えるけれど、どう見てもはた迷惑な恋する男子でした。多くの人を殺したはずの七殺天凌がかわいそうになってくる不思議。