今日の更新は、歴史好きにおすすめのファンタジーの記事です。
「歴史ファンタジー」というくくりだとちょっと定義が難しいので、「歴史好きにおすすめのファンタジー」というテーマにして定義を広くしました。
それでは続きからお読みください。
- 銃で魔法を使う世界の戦記群像劇『銃姫』
- 麒麟に選ばれた王たちの物語『十二国記』
- 少女が国の栄枯盛衰に巻き込まれる『流血女神伝』
- 架空の国で起きた不思議なできごと『蕃東国年代記』
- しっかり文化を描くアジア風ファンタジー『守り人シリーズ』
- 魑魅魍魎が跋扈する東京を描く 『東京異聞』
- 子どもにもわかる政治ファンタジー『天山の巫女ソニン』
- 中華風世界の後宮で成り上がれ『後宮小説』
- 少年十字軍の時代で知識チートをする『ジーンズの少年十字軍』
- 歴史上の国をモデルにした連作シリーズ 『そして花嫁は恋を知る』
- 平安の不思議な事件を解決する『陰陽師』
- スチームパンクとバイオ技術の対立を描く『リヴァイアサン三部作』
銃で魔法を使う世界の戦記群像劇『銃姫』
望んだものを消し去れる「銃姫」というアイテムを探す少年、セドリックが旅をしながら国の陰謀に巻き込まれたり世界の仕組みに迫ったりするファンタジー。
序盤は男の子+女の子ふたりの旅を描いていますが、徐々にいくつもの国の思惑が錯綜する戦記群像劇になっていきます。
辛いシーンが多いのですが、その辛いシーンがあってこそ愛や希望が映える作品です。
麒麟に選ばれた王たちの物語『十二国記』
高校生だった中島陽子は突然異世界に飛ばされ、過酷なサバイバルを強いられる。彼女がここに連れてこられた理由とは……。王を選ぶ獣麒麟と選ばれた王たちの政治ファンタジー。
子どもが木から生まれてくる不思議な世界を緻密な設定とともに描き出している作品です。それによって社会の仕組みも変わっていくのが面白いです。
「ファンタジー世界の政治と歴史」を全力で書いたらこうなる、という作品です。
少女が国の栄枯盛衰に巻き込まれる『流血女神伝』
猟師の娘カリエは、エディアルドという男にさらわれて病気の王子の影武者になることを強いられる。そこからカリエは、いくつもの国を股にかけ、波乱の人生を歩むことになる。
しっかりとした歴史学の知識を持つ著者による、架空世界の歴史絵巻です。カリエの波乱万丈さに「マジかよ!」となりながらも国の栄枯盛衰や政治的駆け引きが非常にリアルです。
常にハードモードな作品だけれどそれゆえに面白いです。
架空の国で起きた不思議なできごと『蕃東国年代記』
日本とユーラシア大陸の間に浮かぶ国、蕃東(ばんどん)。東アジア風の文化を持つそこは、さまざまな不思議な話に満ちていた。架空の国蕃東を舞台にした、アジア風ファンタジー。
世界観の作り込みがきっちりしており、好きな人はすごく好きだと思います。しかし、今では使われない単語が頻出しており、読者に古典の知識を要求してくる本です。
それだけに読みごたえがあり、じっくり本と向き合えます。
しっかり文化を描くアジア風ファンタジー『守り人シリーズ』
女用心棒バルサは、ひょんなことで新ヨゴ王国の皇子、チャグムを助ける。その縁から、精霊の卵を身に宿した彼と追手から逃げることとなる。
いくつもの国が登場しますが、それぞれの国に食文化、政治的システム、宗教観などがしっかりと設定されており、まさしく「大きな世界」と言った感じです。
著者が文化人類学者なだけあって、架空の国の社会が丁寧に描かれています。全く知らない場所なのに、なぜか「ありそう」と思ってしまうリアリティがありました。
魑魅魍魎が跋扈する東京を描く 『東京異聞』
江戸が東京になって29年。東京は、魑魅魍魎が跋扈する世界になっていた。そこで起こった凄惨な事件の真相とは……。
ミステリ要素とファンタジー要素が交錯する、幻想的な作品です。犯人が見つかってさあおしまい! とならないところが好き。
最後の展開も文明開化と幻想が混ざっているところが最高にかっこよくて好きです。
子どもにもわかる政治ファンタジー『天山の巫女ソニン』
天山の巫女見習いだったが、素質がなく山を下ろされたソニン。彼女が王宮の侍女として陰謀に巻き込まれる朝鮮半島風のファンタジー。
淡々とわかりやすい文章とは裏腹に、ハードな陰謀や、政治、社会の話が展開されます。キャラクターも個性的で、いいところも悪いところも抱えています。
国を治めることの難しさを、子どもでもわかる内容で書き切っている作品です。
中華風世界の後宮で成り上がれ『後宮小説』
先帝が腹上死で崩御し、新たな後宮に銀河という娘が入宮。好奇心旺盛な彼女は女大学で角先生に気に入られ、正妃となった。しかし王宮には賊軍が迫っており、銀河は王宮を守るため軍隊を指揮するはめに……。
明るい下ネタがあふれるコメディタッチの展開。それでいてラストは少し切なく、余韻深く終わります。
個性的な設定を、架空歴史の中に落とし込むところが面白いです。
少年十字軍の時代で知識チートをする『ジーンズの少年十字軍』
13世紀にたどり着いてしまった少年が、少年十字軍に同行することとなるタイムトラベル小説。
わかりやすく言うと「過去世界で現代知識で無双する」話です。なろうが好きな人に読んでもらいたいです。
しかしながら、過去と現在の価値観の違いをしっかり描き、ただ「現代すごい」という話で終わらないところが面白いです。
歴史上の国をモデルにした連作シリーズ 『そして花嫁は恋を知る』
どこかの国で花嫁が恋に落ちる連作シリーズ。基本一巻完結ですが、作品ごとにつながりがあります。
舞台にはそれぞれ モデルとなった国があるため、歴史好きならにやりとできるシーンが多々あります。あーこの国と国の話ね! と気付く瞬間が楽しいです。
ストーリーとしては王道で、恋愛ものとしても楽しめます。
平安の不思議な事件を解決する『陰陽師』
日本の幻想的な説話や能を題材に、陰陽師安倍晴明とその相棒源博雅が事件を解決するストーリー。
蝉丸などの歴史上の人物が登場し、通い婚や文のやりとりなど平安時代らしい文化も描かれています。平安時代好きにはおすすめです。
個人的には『生成り姫』が一番のお気に入り。『鉄輪』という能を題材にした、悲しく美しいラブストーリーです。
スチームパンクとバイオ技術の対立を描く『リヴァイアサン三部作』
ヨーロッパが遺伝子組み換え技術を使う「ダーウィニスト」と機械技術を使う「クランカー」に二分されている世界。オーストリア大公の息子、アレックは両親が暗殺されたことにより、流浪の身になる。逃亡先で、男装の英国士官候補生デリンと出会い、友情を感じるが……。
現実世界のパラレルワールドを舞台にしており、実在の人物や国が設定をアレンジされて登場します。そのアレンジの仕方が面白いです。
スチームパンクとバイオ技術の対立も最高に燃えます!
以上です。気になる本があれば手に取ってみてください。