今日の更新は、『花冠の王国の花嫌い姫3 騎士と掲げるグラジオラス』です。
あらすじ・概要
極寒の国ラハ・ラドマも夏季になり、再び花粉症に苦しむフローレンス。そんな中、大砂漠帝国が攻めてきたという知らせが届く。ふたりは侵攻を受けた騎士団領へ救援に行くことを決めた。フローレンスはそこで砦を奪還するための指揮を執ることに……。
戦記ものとラブストーリーを両立させる手腕がすごい
本当に戦記ものになった! しかも面白いです。
ストーリーも複雑になり、戦記部分は一言で説明できないほど。ちゃんと読まないと物語に振り落とされます。
しかもその戦記ものとしての一面もありながら、きちんとフローレンスとイスカの信頼と愛情が描かれ、ラブストーリーとしても成立しているという。いやはや離れ業ですね。
恋愛と言ってもイチャイチャしていないので甘くはないけれど、個人的にはこのくらいの甘さがちょうどいいです。
そして1巻でコメディチックな設定だった「花粉症」と「お人好しの人たらし」というフローレンスとイスカの設定が、この戦闘回においてもきちんと設定として働いているのがすごいです。花粉症だからこそ、お人好しだからこそ生きてくる展開がとても多いです。この設定力、構成力には脱帽です。
今回はフローレンスの兄セリスが本格的に登場。曲者で性格の悪いイケメンです。しかしフローレンスのことは彼なりに愛していることが言葉の端々から感じられます。この一筋縄ではいかないキャラクター好きです。
性格が悪いだけではなく、彼の選択は彼なりの最善である、というところがかっこいいんですよ。ある意味お人好しのイスカと対極的なキャラクターですね。
◎ここからネタバレ◎
被害を最小限に減らしたい→大将首の一騎打ちを提案 という流れがなるほどでした。しかもこの展開ならイスカを前線に出しても不自然ではなく、イスカはそもそもキャラクターの中で相当強い男なので勝てます。
本当に設定が上手くかみ合っていてわくわくしますね。
そしてこの展開は、イスカが正義感の強い優しい男だからこそ光るものでもありました。最高。
戦記もの路線になってもちゃんと面白かったので、次巻も楽しみです。