もうラノベを読み始めて15年以上になります。このところ自分より若い読者が増えつつあります。
いい機会なので自分の振り返りもかねてゼロ年代に刊行されたラノベのおすすめまとめを作ってみました。
- ハートフルボッコ異種間コミュニケーション『ダブルブリッド』(2000)
- 変態とチートが織りなすSFファンタジー『円環少女』(2005)
- 怪異の多発する学園でガチホラー『Missing』(2001)
- 猫が暮らすスペースコロニーでロボットバトル『猫の地球儀』(2000)
- 中学生が背負わされる過酷な試練『アンゲルゼ』(2007)
- 恋の矢印がロミオに集中する『ロミオの災難』(2008)
- 人でないものと混ざった若者たちの物語『哀しみキメラ』(2006)
- センチメンタルなおにロリ『楽園 戦略拠点32098』(2001)
- 鬱とギャグの落差が激しい王宮少女小説『遠征王シリーズ』
- キャラクターの記号化を逆手に取った奇書『マキゾエホリック』
ハートフルボッコ異種間コミュニケーション『ダブルブリッド』(2000)
人間と怪(あやかし)の間に生まれた女性優樹が、その戦闘力を生かし、人間の青年と太一朗と怪関連の事件を解決していく。
ハートフルボッコに定評がある作品。読み進めるうちにどんどん不穏になっていきます。精神的に元気なときに読んでください。
そして人外の描写が最高。人と人でないものが簡単に分かり合えない中交流し、仲良くなったり仲良くなれなかったりします。異種間コミュニケーションものとして面白いです。
変態とチートが織りなすSFファンタジー『円環少女』(2005)
いくつもの魔法世界が存在する世界観。ほとんど魔法が使えないことから、あまたの世界から「地獄」とされる地球。そこでメイベルという追放された幼女魔法使いがドンパチするファンタジー。
チートとチートのぶつかり合いが見られる作品です。どうやって戦うんだ? という能力同士でもカッコいいバトルに仕上がっています。
登場人物に変態が多いので、ギャグの意味でも楽しめます。
怪異の多発する学園でガチホラー『Missing』(2001)
神隠しの帰還者である「魔王様」こと空目恭一と、周囲の文芸部メンバーが次々に学校で怪異に巻き込まれる。それにはある女生徒が関わっているようで……。
なぜか公式では現代ファンタジーと紹介されていますが中身はガチガチのホラー。みんなのトラウマ。読むとシャワーや池が怖くなります。
「物語は感染する」という世界観も怖くてカッコいいです。
1巻はちょっとわかりにくいのでできれば2巻まで読んでほしい。
猫が暮らすスペースコロニーでロボットバトル『猫の地球儀』(2000)
知性ある猫が暮らすスペースコロニー。そこで地球を目指して宇宙船を作る幽(かすか)と、スパイラルダイバーと呼ばれるロボット戦闘の頂点に君臨する焔(ほむら)が出会い、仲良くなったり戦ったりする話。
これもすごく鬱な作品なので元気な時に読んでください。しかし透明感のある美しい文体で語られる猫たちの心理描写や、スペースコロニーの独特の文化が見られます。
バトルシーンもめちゃくちゃかっこいいです! 名作。
中学生が背負わされる過酷な試練『アンゲルゼ』(2007)
内気で引っ込み思案な陽菜の趣味は、歌を歌うこと。歌を歌うと不思議な女性が現れ、彼女をマリアと名付け交流していた。しかしマリアは、陽菜の運命を変える存在だった。
天使に似た謎の生命体と戦う少年少女の物語。ヒロインにこれでもかと過酷な試練が襲い掛かります。容赦がない。そんな環境で惹かれあい、ときに傷つけあう子どもたちが愛しいです。
ミリタリーものが好きな人におすすめ。
恋の矢印がロミオに集中する『ロミオの災難』(2008)
一年生五人だけの演劇部。文化祭の公演の相談をしていると、五人で演じられる『ロミオとジュリエット』の台本が落ちてきた。その台本を演じることにした五人だったが、なぜか部員たちの恋愛の矢印が、ロミオ役の如月に向き始め……。
基本的に青春ラ ブコメ。その中で自分の感情に向き合い、結論を出していく少年少女たちがかわいかったです。
余韻のある終わり方で、今後の想像をしてしまうところも好きでした。
人でないものと混ざった若者たちの物語『哀しみキメラ』(2006)
大学受験を目指していた四人組は、エレベーターで「なにか」に体に入り込まれてしまう。それ以来、四人は半分人ではなくなった。四人は変わってしまった体に戸惑うが……。
異形のものと交じり合ってしまった若者たちが、周囲から危険視される中どうにか生き残ろうとあがく話です。寄り添いときに反発しながらも、お互いのために頑張る四人が美しいです。
最初のシーンとシリーズのラストシーンのリンクは何度読んでも泣けてきます。
センチメンタルなおにロリ『楽園 戦略拠点32098』(2001)
人類の間では、千年間戦争が続いていた。サイボーグ兵ヴァロアは、敵が必死に守っている謎の惑星に降下する。そこでロボット兵ガダルバと少女マリアに出会い、牧歌的な生活をするようになる。しかし、この惑星には秘密が隠されていた……。
表紙左のメカ兵士と少女、そこにやってきたサイボーグの降下兵の兄ちゃん。この組み合わせ、人外好き、おにロリ好きな私にとってはクリーンヒットでした。
すっごくセンチメンタルな話なんですが、逆にそこがたまらなく好きです。
鬱とギャグの落差が激しい王宮少女小説『遠征王シリーズ』
男装の女王、アイオリアがどこかに出かけて行っては事件を解決したり王宮の後宮メンバーを増やしたりするファンタジー小説。
ギャグのときと鬱のときの落差が激しいシリーズ。ポンコツに見えたキャラクターが実は激重の愛を抱いていたり、クールな女性がちょっと天然だったり、ギャップも豊富です。
年の差カップルがいるので年の差スキーにもおすすめです。
キャラクターの記号化を逆手に取った奇書『マキゾエホリック』
転校してきた主人公がやってきたのは、クラスメイトが個々の「記号」を持った教室だった。主人公は個性豊かなクラスメイトたちに巻き込まれていく。
陰で暗躍している「黒幕」、周囲がハーレム状態になる「女難」など、特定の記号を持つ彼ら。ライトノベルのキャラクターの記号化を逆手に取った設定が奇妙で面白いです。
打ち切りだろうしあまり評価もよくないのですが、個人的に大好きなんですよね……。
まとめてみると、鬱展開だったり切ないオチだったりするものが多いですね。私がそういう作品を好むのもあるとは思いますが、それにしても多い。
以上、気になるものがあれば読んでみてください。