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長月遥『花冠の王国の花嫌い姫』感想のまとめとおすすめポイント3つ

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花冠の王国の花嫌い姫 (ビーズログ文庫)

今日の更新は、『花冠の王国の花嫌い姫』感想のまとめとおすすめポイントです。

 

 

感想記事一覧

人の上に立つ自覚がある王族ばかりの少女小説―長月遥『花冠の王国の花嫌い姫』 

共感能力の低いヒロインが思い人を体を張って助ける―長月遥『花冠の王国の花嫌い姫2 ガーベラの約束』 

戦記ものになってもきっちり面白い少女小説―長月遥『花冠の王国の花嫌い姫3 騎士と掲げるグラジオラス』 

いい性格してるヒロインが砂漠の反乱を止める―長月遥『花冠の王国の花嫌い姫4 縁を結ぶゼラニウム』 

花粉症の姫、いい性格の聖職者と戦う―長月遥『花冠の王国の花嫌い姫5 クロサンドラの聖人』 

結婚式の準備をしながら暗殺阻止―長月遥『花冠の王国の花嫌い姫6 祝福の赤薔薇』

 

おすすめポイント

1.王族という設定を全力で生かしたストーリー

花嫌い姫という名の通り、この作品は姫君が主人公です。その「姫君」という設定を最大限に生かした作品でした。

花アレルギーゆえに花の多い国では引きこもらずにはいられなかったフローレンスですが、ラハ・ラドマに嫁いでからはイスカと国のために奔走し、外交努力をし、よその国の皇帝との政略結婚を円満に解消することまでしてしまう。外交や国同士の利益の道具である「姫君」としての活躍なんですよね。

そしてその行動の礎にあるものが、「イスカが好き」という感情なのがまたいいんですよ。惚れた男のためにがんばる女の子大好き。

 

2.丁々発止の政治戦

メインはラブストーリーとはいえ政治戦はかなりガチ。ちゃんと読まないと振り落とされます。

登場人物に生粋の悪人は少なく、なんだかんだ優しい人たちの集まりですが、「優しい」からといって国の利益はどうでもいいと思ってはいないところが王族としてかっこいいです。

フローレンスも、損得勘定とイスカへの恋心を両方持ち、愛と利益が両立する方向を模索していきます。

思惑と思惑、やりたいこととできることがぶつかり合う展開が熱い。

 

3. 愛情とともに「信頼」で結ばれた主人公カップル

花だらけの祖国から逃げ出したくて、下心ありありでラハ・ラドマに嫁いだフローレンスは、そこで王子イスカの心の美しさに触れます。

自分に優しくしてくれるから、ももちろんあるのですが、相手の心の在り方や生き方に惚れている描写がすごくいいんですよね。

イスカはイスカで、フローレンスの聡明さや行動力を評価しています。ただ守るべき女性としてではなく、パートナーとしても信頼しています。そのバディ感がすごく好きです。

 

こんな人にはおすすめしない

一方で、恋愛ものというより恋愛要素のある王宮政治ものという様相なので、純粋にラブストーリーが好きな人には向かないかもしれません。

でも私は「恋愛以外に大事なものがある人が恋愛する話」が大好きなのでめちゃくちゃ楽しめました。

後はしいて言えば……キャラクターが多いので記憶力が低いと辛いかも。ただ、個性豊かなので個人的には覚えるのは難しくなかったです。

花冠の王国の花嫌い姫 (ビーズログ文庫)

花冠の王国の花嫌い姫 (ビーズログ文庫)

  • 作者:長月 遥
  • 発売日: 2016/03/14
  • メディア: 文庫