今日の感想は、『十二人の死にたい子どもたち』(実写映画版)です。
あらすじ・概要
集団自殺を行おうと廃病院に集まった12人の子どもたち。しかしそこには、13人目の死体が横たわっていた。全員が賛成しないと集団自殺は決行できない。12人の子どもたちは、それぞれの思惑を胸に13人目の死の謎について調べ始める。
鬱や不謹慎ではなくかなり道徳的な話
原作は未読です。
センセーショナルなタイトルと設定とは裏腹に、かなり道徳的で希望のあるストーリーでした。
子どもたちが「なぜ死にたいのか」という理由を、死にたい子どもたち同士の謎解きと交流によってひとつひとつつぶしていきます。
行き場のなかった死にたい気持ちが、話し合うことで出口を見つけていく。その過程が心地よかったです。
元ネタである『十二人の怒れる男』のオマージュもところどころに入っていてよかったです。これはミステリとして調査シーンがあるから密室劇ではないんですが、要素が入っているところが面白いです。
しかし相貌失認気味なので、眼鏡だったり帽子だったり、似たパーツを持っているキャラクターがいて見分けがつきにくかったです。その辺の衣装は工夫してほしかったです。何で黒縁眼鏡が三人もいるんですか?
あとは人数が多いだけあってキャラクターの説明が駆け足になりがちでしたね。尺の問題もあって仕方ない部分はありますが。
そんな粗はありつつ、作品に流れるダークな雰囲気や倫理的なテーマは好きなので楽しめました。
◎ここからネタバレ◎
オチはだいたい予想はしていたんですが、まさかあの人がもう一度集会に参加することになるとは……。さわやかなストーリーだけれど、ここはちょっと黒さがあって好きです。
でもこのオチでも、また集まった子どもたちは自殺を選ばないのだろうという安心感があります。
ところで文庫版の表紙の女の子は12人のうち誰なんでしょう?