今日の更新は、来楽零『哀しみキメラⅡ』です。
あらすじ・概要
十文字を失い、モノ祓い師をしながら生活をしていた三人のキメラたち。彼らは伯父を呪い殺してしまったという真里(まさと)と出会う。一方水藤が仕事で向かった自殺の名所に現れた、いくつもの幽霊が混ざり合った「モノ」。両方に仙谷という男が関わっているようで……。
人間らしさを手放したくない人外
この巻はちょっと展開がごたついているところがあります。真里の呪いの蛇と交じり合った女の「モノ」の展開がうまくかみ合っていないのかな。
真里の呪いの力は、もとはといえばキメラたちが京都で「モノ」たちを解き放ってしまったゆえ。三人は責任を感じて人を殺してしまった真里を助けようとします。
しかし三人が「人間らしさ」を手放さないよう試みる時点で彼らは人ではないのだなあ……と思います。今回の敵役である仙谷が、人間らしさについて悩むとは思えません。
人であろうとあがくキメラたちと、人でありながら人の道を踏み外す仙谷。その対比が印象的でした。
◎ここからネタバレ◎
最後に呪いを解くのは真里自身なのはいいですね。今後も前途多難だけれど、彼女ならがんばってくれると信じられます。
水藤は女のモノを食べてしまったせいで体調不良に。今後の展開を知っているだけにこのシーンは苦いものが走ります。
もしものことを言っても詮無いことですが、ここで仙谷を助けていなかったら運命は変わったのでしょうね。でも、それができないから彼らは「哀しい」のだと思います。
それゆえにやっかいごとを抱え込み、恨むべき人間も助けてしまう三人は