ブックワームのひとりごと

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階段を上った小学生たちの行方を追え―来楽零『哀しみキメラⅢ』

哀しみキメラIII (電撃文庫)

今日の更新は、来楽零『哀しみキメラⅢ』です。

 

あらすじ・概要

学習塾でアルバイトをしていた水藤は、小学生たちの間に「願いがあるならば、階段を上れ」という噂が回っていることを知る。そして子どもたちの何人かは行方不明に。純と彩佳は、「モノ」がかかわっているのではないかと、水藤と一緒に階段について調べ始める。

 

弱体化を抱えた純が不安

ときおり体が人間並みに弱体化するようになった純。強さに頼ることもできなくなり、ますます半端者になりつつあります。

そんな中で、階段の上の「モノ」と戦うところははらはらしました。いつ弱体化するかもわからない中で、悪意あるモノは食べなければならない。純が抱えた爆弾がどうなるか不安になりました。

 

大切なものを取り戻すために階段を上がっていく子どもたちの切実さはなんだか苦しかったです。

ただ読み返してみると子どもたちの行動や言動がちょっと子どもっぽくないところがあり、違和感がありました。

でもこの辺は好みの問題かな。

 

◎ここからネタバレ◎

 

邪悪な「モノ」を食らい、自らも心が人外めいてしまった水藤との別離。変な言い訳をさせずに、ここできっぱり別れさせるところがこの作品らしいなと思います。

キメラたちの中で一番優しい水藤が、こんな倫理にもとることをするということが何度読んでもショックです。

 

あと、モノに取り込まれかけた純が見た夢のシーンが悲しかったです。純が取り戻したいものは、彼女なんだなあと思うとここまでの展開がより染みてきます。二度と元には戻らないからこそ、胸が苦しかったです。

哀しみキメラIII (電撃文庫)

哀しみキメラIII (電撃文庫)

  • 作者:来楽 零
  • 発売日: 2015/09/12
  • メディア: Kindle版