ブックワームのひとりごと

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同性ならセクハラしていいっていう発想をやめよう!―宮入裕昴『スカートのなかのひみつ』

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スカートのなかのひみつ。 (電撃文庫)

 

あらすじ・概要

男子高校生、天野はクラスメイトの八坂幸喜真(やさかこうきしん)に女装をしていることがばれてしまう。天野に興味を持った八坂は、ひとりの美少年を女装に引き込み、不審者シャーリーを捕まえようと試みる。そんな八坂には、恋する相手がいるようで……。

 

面白いけど倫理がヤバい

どんどん展開するテンポのいい流れと、独特の描写とせりふ回しが面白いです。そして終盤で一気に伏線を回収して、爽快感を出しています。

エンターテインメント的なわくわくとともに、何かのコンプレックスを抱えている登場人物たちが、誰かとの出会いをきっかけに成長していく青春物語を両立させています。

 

と、褒めておいて何だけれども私はこの作品合わなかったですね。

八坂みたいな下品ではっちゃけた男が好きじゃないのと、あと、「同性間のセクハラは無罪」みたいな価値観が嫌でした。

八坂と女装少年ふたりは友人間のじゃれあいと思えば許してもいいんですが、シャーリーの正体であるあの人が、女生徒をあれだけ怖がらせておいて何かふわっと救済されたのが気持ち悪かったです。

いや被害者の女の子の立場に立って、「あれはこういう理由があったんですよ」って説明されたら許せる? 許せないじゃないですか? 「うわあ気持ち悪い」という感情は一生続くよね。

 

よくできた作品だとは認めるけれど、私の倫理的にはちょっと……という話でした。

スカートのなかのひみつ。 (電撃文庫)

スカートのなかのひみつ。 (電撃文庫)

  • 作者:宮入 裕昂
  • 発売日: 2018/06/09
  • メディア: Kindle版