この間女主人公がゴリゴリに活躍する小説の紹介記事を書きました。
今回はその映像作品バージョンです。
映画(実写)
淑女がゾンビと対決『高慢と偏見とゾンビ』
ゾンビが徘徊する世界。地主階級に生まれたエリザベスは、ビングリ―とダーシーという男性に出会う。エリザベスはゾンビを倒すことを第一に考えるダーシーの高慢さに、反発を持つのだが……。
イギリス文学『高慢と偏見』を二次創作したトンチキゾンビもの。しかしいいとこの淑女とゾンビとのバトルという組み合わせがめちゃくちゃかっこいいです。
しかも結構原作に忠実なところがすごい。
老トレーナーと三十路の新人ボクサーの疑似親子 『ミリオンダラー・ベイビー』
ボクシングのトレーナーのダンのもとに、31歳のボクサー志願者の女性、マギーがやってきた。押し切られるようにして彼女にボクシングを教えることになったダン。リングに上がったマギーは快進撃を続けていく。
ラストだけはうん……本当に……つらいけど……、30代の女性がどんどん強くなり、覇道を踏みしめていくところは気持ちいいです。
老トレーナーと新人女性ボクサーの疑似親子のような師弟関係も最高です。
女性シンガーが修道院を変える『天使にラブ・ソングを』
クラブのシンガーが元恋人のギャングに追われ、逃げ場所として警察に修道院を紹介される。その修道院は凝り固まった価値観に囚われていた。彼女は聖歌隊を改革し、新しい価値観を修道院にもたらすが……。
明るく楽しい音楽映画。主人公が美貌の女性ではなく太ったアフリカ系の女性というところも最高です。
テンポよく話が展開して主人公を中心にハッピーになれる作品です。
女友達とゴースト退治『ゴーストバスターズ』(リメイク版)
大学で働くエリンは、ともにゴーストの本を書いた友人と再会。彼女は今でもゴーストの研究を続けているという。なりゆきでゴースト退治に付き合わされることとなり、そこでゴーストを発見した。その動画をアップされたことから大学を首になったエリンはふたたびゴーストの研究をするが……。
特に美人でもない冴えないおばさんたちがゴーストを退治して街を救います。この「冴えない」ところが「普通のわたしたち」の自己肯定感を上げてくれます。
恋愛要素より女同士の友情が重要視されているところも好きです。
世間知らずの女ヒーローが悪を倒す『ワンダーウーマン』
楽園のような島に暮らす女性しかいない一族、アマゾンの姫君ダイアナ。彼女はスパイのスティーブ・トレバーと出会い、第一次世界大戦をけしかけている軍神マルスを倒すための旅に出る。しかしダイアナにとって、外の世界は予想もつかない場所だった。
女がヒーロー、男は実質的にヒロインポジションな作品。スティーブにはお色気シーンもあるよ。
強くて賢いダイアナだけれど外の世界を知らない純真さもあり、とにかくかわいいです。強いとかわいいの足し算は正義。
かるたに青春をかけた少女『ちはやふる 上の句・下の句』
高校にかるた部を作ろうと部員を集める千早。幼なじみの太一は千早への恋心もあってそれを手伝う。初心者を含めた新しいかるた部は、全国大会に行くことができるのか……。
千早というかるたモンスターとそれに巻き込まれる人々という感じの映画です。マジでかるたのことばかり考えている女です。そこがいい。
CGを使った演出もきれいで、鬼気迫るかるたシーンは一見の価値ありです。
もし眠り姫の悪い魔女がいいやつだったら『マレフィセント』
強い力を持っていた妖精、マレフィセント。彼女は人間の少年に恋をしますが、彼は王となるために裏切ります。マレフィセントは、彼の娘に「16歳の誕生日に、糸車の針に刺されて眠りにつく」呪いをかけます。しかしマレフィセントは彼女に情がわいてしまい……。
ディズニーが『眠れる森の美女』をセルフ二次創作したような作品。女による女のためのディズニー映画です。男はほぼほぼお助けキャラ。
大なた振ってぶった切ったストーリー展開がすがすがしいです。
いなくなった息子を探すシングルマザーの母親『チェンジリング』
行方不明になって戻ってきた息子。しかし、警察に渡されたのは別人の子だった。シングルマザーの主人公は本当の息子を探して駆けずり回る。
オチ的には「活躍」とは言いがたいかもしれませんが、女性主人公ものとしては好きな映画です。いなくなった子どもを救うために悲壮な形相で努力を続ける女性の姿が心を打ちます。
子持ちの人にはつらい映画かもしれませんが、私はとても好きです。
冴えない女子がファッション業界へ『プラダを着た悪魔』
報道記者を目指す冴えない女子のアンディがファッション雑誌の編集部に入って鬼編集長のミランダのアシスタントをする羽目になる。ミランダは高圧的でわがままで、しかし優秀な女性で……。
冴えない女子があか抜けてサクセス! キラキラしたファッション業界で活躍! なのですが、それだけでは終わらないところが好きです。
「人は何のために働くのか」の答えの一つを見られる作品です。
女の子たちが炭鉱の町を救う『フラガール』
かつては炭鉱で栄えたが、今はさびれゆく町。そんな北国にハワイをテーマにした施設を作るプロジェクトが生まれた。その目玉であるフラダンスショーを教えに来た先生は、わけありで……。
生まれた町を救おうと立ち上がる女の子たちと、最初はやる気がなかったもののそんな女の子たちに感化されて熱が入っていくダンス講師。王道のストーリーながら熱い描写でぐいぐいのめり込めます。
プロ意識が生まれていく女の子たちの姿も見もの。
ドラマ
不思議系ヒロインが事件を解決『ケイゾク』
迷宮入りした事件を捜査する「警視庁捜査一課弐係」に研修に来た柴田純。彼女は真山とともに、次々と難事件を解決していく。やがて、柴田は真山の妹をめぐる大きな事件と戦うことになり…
変わり者だけれど切れ者な女主人公がかっこいいです。そして、変だけど倫理観はきっちりしているという。
救いのないオチが多い作品ですが、ミステリ女探偵ものとしては最高です。
偽装結婚から夫婦を考える 『逃げるは恥だが役に立つ』
就職に失敗し派遣社員として働いていた女性、みくり。派遣切りに遭い無職になったところを、会社員の津崎平匡の家事代行として働くことになる。しかし両親が田舎に引っ越すことになり、町に残るか、田舎についていくか選択を迫られたみくりは、平匡に「雇用関係としての結婚」を提案する。
何でもかんでも改善策を考え、突拍子もない案を提案するみくり。そしてそれを真面目に検討する平匡のコンビが楽しいです。
恋愛ドラマでありながら積極的に問題解決をするお仕事ドラマでもある作品です。
女性法医学が「不自然な死」を追求する『アンナチュラル』
あらゆる機関から独立を保ち、独自に死体解剖を行い死の原因を突き止めるUDIラボ。そこで法医学者として働く三澄ミコト(みすみ・みこと)は、優秀だが傍若無人な同僚中堂系(なかどう・けい)に振り回されている。UDIラボの面々は、次々運び込まれてくる「不条理な死体」の謎を暴き、不条理から何かを未来につなげていく。
とにかく主人公ミコトの倫理が高いので安心して見られます。ストーリーはハードですがきちんと救いも描かれます。
感想記事で私が中堂に怒ってるんですが話は面白いから見てください。
アニメ
かわいい女の子がスパイ活動『プリンセス・プリンシパル』
共和国と王国に分裂したアルビオン。スパイのアンジェとドロシーは、プリンセス・シャーロットと入れ替わるために学校に侵入する。しかしプリンセスは協力者となり、スパイの二人とともにロンドンで暗躍することに……。
かわいい絵柄とは裏腹に物語は結構シビアです。人が死ぬ回、後味の悪い回、報われない回も存在します。しかしそんな過酷な世界観で必死にスパイ活動をする女の子たちがかっこいいです。
スチームパンクな舞台設定もときめきます。
王子様になりたい少女が選び取った未来『少女革命ウテナ』
王子様になりたい少女天上ウテナ。彼女は姫宮アンシーに出会ったことから、生徒会の「決闘」に巻き込まれていく。順調に決闘を勝ち進んだウテナ。果たして「薔薇の花嫁」とは何なのか……。
哲学的・観念的な描写が続く一方で、トンチキなギャグ回もあり、ギャップが激しい作品です。
物語が終盤になると「王子様」「お姫様」の概念に切り込んでいきます。ラストを見ると「女性が活躍する話」だと納得してもらえると思います。
小柄なうさぎ女子が街を救う『ズートピア』
ウサギ初の警官になったジュディは、「だれでもなんにでもなれる街」ズートピアにやってきた。しかしそこには理想とは程遠い現実があった。無理やり捜査の仕事をもぎ取ったジュディは、詐欺師のキツネ、ニックを巻き込み、行方不明事件の捜査を開始する。
「か弱い」とされるウサギなのに警察官になったジュディ。数々の偏見に直面しながらも、なりゆきで相棒になったニックとともに街を救います。
ニックよりジュディのほうが腕っぷしが強いところも萌えます。
戦うディズニープリンセス『塔の上のラプンツェル』
怪我を癒す不思議な髪の毛を持つラプンツェルは、母親に閉じ込められて暮らしている。しかしある日彼女の元に泥棒フリン・ライダーがやってきた。泥棒を捕まえたラプンツェルは、彼に外の世界を案内し、不思議な明かりの元へ連れていくことを要求する。
ラプンツェルは戦えるディズニープリンセス。長い髪を振り乱して戦うシーンが多いです。世間知らずなところと強いところが同居しているのがいいです。
「深窓の令嬢」がごりごりアクションするのが楽しいです。
時空を駆けるメタ系ラブストーリー『千年女優』
かつて人気だった女優、藤原千代子。彼女の元にインタビュアーがやってくる。少しずつ自分の過去を語りだす千代子だったが、彼女の物語にはいくつもの映画のストーリーが混線し……。
フィクションと現実の境界線があいまいになるメタ系ファンタジー。「女優」としていくつもの世界線を駆け回り、そこで何度も恋に落ちて愛する人を追いかけます。その強い意志の狂気とロマンチックさが並行して描かれます。
映像の美しさも好き。
夢と現実を行き来しながら戦う『パプリカ』
患者の夢の中に入ることのできる装置が盗まれ、サイコセラピストであるパプリカこと千葉敦子が捜査を開始する。しかし、次第に現実世界に夢があふれ出してしまい……。
メタ系SF。シュルレアリスムのような奇怪なイメージがどんどんあふれ出していくところはおどろおどろしくも美しいです。
そしてそんな夢の世界を飛び回り、悪と戦うパプリカが痛快です。
以上です。まとめていて気付いたんですが、実写の邦画がほとんど思いつかなかった……! 探せばあるのでしょうが、確かに映画館の上映リスト見ても「これ女性が活躍しそうだな」っていう作品はあまりないですね。
邦画にはがんばってもらいたい。