ブックワームのひとりごと

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鉄オタ知識満載のコメディミステリ―綾辻行人・佐々木倫子『月館の殺人 上・下』

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月館の殺人 上

 

あらすじ・概要

母親を失い、富豪であった父方の祖父の家に招かれた女子高生、空海(そらみ)。館へ向かう高級夜行列車「幻夜」に乗り込むと、そこには5人の男がいた。鉄道を愛する奇妙な男たちに困惑していると、そこで殺人事件が起こった。犯人は、幻夜の乗客とスタッフの中にいるはず……。

 

不謹慎さも行儀の悪さも含めたギャグ

個人的にコメディ系の人が死ぬミステリは、「人が死んでるのにコメディやってる場合ではないだろ」という気分になって楽しめないことが多いです。それでもこの『月館の殺人』は結構楽しめました。

作画担当、佐々木倫子の元々の作風に助けられているところがあって、不謹慎さも行儀の悪さも「そういうギャグなんだな」と思えます

トンチキ感が楽しいミステリでした。

 

作品の随所にちりばめられている鉄オタ知識は面白いんですが、あまりに露悪的すぎて本物の鉄から苦情が来ないか心配です。

列車の備品をくすねるキャラや、鉄趣味が原因で離婚したキャラもいます。

こんな鉄はいない! と主張すると作品の中の「鉄は自分が鉄ではないと主張する」というネタに抵触してしまうので質が悪いですね。いや私は笑っちゃうけど。

 

ミステリとしてはだいたい犯人は予想通りで、驚きはなかったです。ただトンチキコメディとしては非常に面白かったのでこれは大きな欠点ではありません。

 いわゆるバカミスが好きな人にはおすすめです。

月館の殺人 上

月館の殺人 上

 

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