あらすじ・概要
三毛別の北海道開拓民の集落に、巨大な熊が現れた。力強く、賢い熊は人間の肉の味を覚え、襲撃を繰り返し、集落を恐怖のどん底へ落としていく。男たちとマタギは、協力して熊を撃ち取ろうとするが……。巨大なカモシカとの戦いを描いた「飴色角と三本指」も同時収録。
自然物の描写がめちゃくちゃきれいでうまい
AmazonPrimeリーディングで読みました。
まずめちゃくちゃ自然の背景を描くのがうまい。完全なリアル描写ではないのですが、漫画的な絵柄と自然物を調和して描く能力が強いです。雪深い北海道の雄大な自然が美しく厳しいです。
北海道の森って本州の森と感じ違いますけれど、あの白っぽい森の雰囲気がよく出ていてきれいでした。
この事件のことはWikipediaで読んだことがあるのであらすじは知っていましたが、絵になると残虐さが増します。直接的なグロはそれほどないですが、食い殺されてめちゃくちゃになった死体を前にした遺族の強い怒りや悲しみが残酷さを強調していました。
絵で見る北海道開拓民の文化や苦労も面白かったです。
作品を読んで疑問に思ったことは巻末の解説が説明してくれていました。この作品の解説はきっちり読んでおくことをおすすめします。
一方で、原作のせいか作画のせいかわからないのですが、テンポが悪く読みにくいと感じる部分もありました。おそらく漫画にしては文章量が多く、コマが小説の挿絵のようになってしまっているからだと思います。
しかし原作の再現を優先した結果であればありかもしれません。