ブックワームのひとりごと

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今を考えてだいぶ憂鬱になる本―橘木俊詔『格差社会 何が問題なのか』

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格差社会―何が問題なのか (岩波新書)

 

あらすじ・概要

日本の長い不景気の中、格差は広がり続けている。なぜ、格差は広がってしまったのか。格差を否定する政治家たちに反論しつつ、格差が生まれてしまったわけを解説する。格差を減らすには、どうすればいいのか……。

 

正社員になることに希望が持てないなあ

この手の本は何冊か読んでいるので、新しい情報はそれほどなかったです。しかし、昔の本なのにここで問われた問題がほとんど解決していないことに怖さを覚えますね。

著者が繰り返し指摘しているのは、経済格差と教育格差の深刻化です。金持ちの子どもしか教育を受けることができず、教育を受けることができないからまともな仕事に就けない、という悪循環。この問題は改善するどころか悪化しています。

 

著者はまた、非正規雇用の人員が増え、またそこから脱出することが困難であることを指摘します。非正規雇用の人間は女性が多く、女性の貧困を助長する原因ともなっています。

しかし私も非正規雇用の人間なんだけど、正社員になることに希望を持てるかというと……正直持てないですね。何というか、同世代の正社員がうらやましいという気持ちがあまりありません。それは、あまり正社員の人が楽しそうに見えないからです。

正社員の人たちもあまり余裕があるようには見えないし、残業させられているし、いつ別の場所に飛ばされて、自分の望まぬ仕事をさせられるかわかりません。

なかなか働くことに希望が持てない社会だなあとつくづく思いました。

 

著者が上げている格差を減らすための対策のうち、軽減税率は実際に行われています。でもそれが世の中を楽にしたかと言うとそうでもないし、結局全体としては増税だからなあ。

 

今までのおさらいみたいな本でしたが、自分の先行きを考えてしまって少し悲しくなってしまいました。

 

格差社会―何が問題なのか (岩波新書)

格差社会―何が問題なのか (岩波新書)

  • 作者:橘木 俊詔
  • 発売日: 2006/09/20
  • メディア: 新書