ブックワームのひとりごと

読書中心に好きなものの話をするブログです。内容の転載はお断りします。

コロナ禍の中で触れてよかった本・漫画・ゲーム21選

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素材:Canva(https://www.canva.com/

2020年はTwitterの使い方を考え直す年でした。なぜかと言うと、コロナウイルス関連のデマが大量に出回ってきたからです。

私もごりごりの文系で科学の知識には弱いから人のことは言えないんですけど、専門的な知識も社会への責任もないくせによくもまあテキトーなことが言えるなと呆れました。

特に、何も考えず、信憑性のないセンセーショナルなだけのツイートをRTしている人は猛省してほしい。あんたの行動で人が死ぬんだぞ? 

というわけでTwitterでコロナウイルス関連の情報を収集することはなるべくやめて、本で情報を収集していました。

今回はその関連で読んだ本と、「これはコロナ禍の中で出会えてよかったな」と思える本を紹介します。

 

 

 

テキスト主体本:ノンフィクション

 イラストでわかる病気の仕組み『人が病気で死ぬワケを考えてみた』

人が病気で死ぬ理由を感染症・がん・生活習慣病の三つにざっくり分け、人が病気で死ぬ過程やしくみをイラストと文で解説する本。

この記事を最後まで読むのが面倒な人も、この本だけは読んでほしいです。そのくらいまとまった本です。ワクチンの仕組みや歴史、人間と感染症の戦い、エイズなどの有名な感染症についてなど、わかりやすく説明されています。

感染症専門の本ではないんですけれど、感染症って何ぞやという話からわからない人にはおすすめです。

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人が病気で死ぬワケを考えてみた

人が病気で死ぬワケを考えてみた

 

 

 人類が感染症撲滅のため協力したりしなかったり『人類と病 国際政治から見る感染症と健康』

現代史を中心に、人類がどう病気と闘ってきたのかを解説する本。

WHOが世界各国の政治戦の場所になりつつも、どうにか人類に「健康」をもたらそうとしてきた歴史がよくわかります。やはりWHOは必要ですよね。ひとつの国では感染症は対処しきれません。

そこそこ世界史の知識がなければ読みづらい本ですが、しっかり学びたい人にはおすすめです。

honkuimusi.hatenablog.com

 

 不安定になっていく銃後の世界『流言・投書の太平洋戦争』

太平洋戦争期の流言・投書の記録から、当時の民衆の心理状態に迫ろうとする本。

感染症とは直接関係はない本なんですが、終わらない追い詰められ、流言に翻弄されていく民衆の姿は今に通じるものがあります。

つくづく思うのは人間というものは簡単に正気を失ってしまい、安易な答えや価値観に飛びついてしまうということです。そうならないために踏みとどまろうとすることが重要なのでしょう。

honkuimusi.hatenablog.com

流言・投書の太平洋戦争 (講談社学術文庫)

流言・投書の太平洋戦争 (講談社学術文庫)

  • 作者:川島 高峰
  • 発売日: 2004/12/11
  • メディア: 文庫
 

 

 うまくいかない人間関係をどう生きるべきか『鴻上尚史のほがらか人生相談 息苦しい「世間」を楽に生きる処方箋』

演劇を主宰している鴻上尚史が、その経験を生かして人生相談をしたシリーズのまとめ本。

相談した相手を責めず、しかしながらきれいごとも言わず、具体的に「できるかも」という提案をする、というところが読んでいて救われます。他人の人生相談でありながら、自分自身の頭の中が整理される心地がします。

センセーショナルな言葉をよく聞いた今年だっただけに、癒されました。

honkuimusi.hatenablog.com

 

 

この本を読んで眠れるようになりました『Tarzan特別編集 決定版 自律神経を整える』

自律神経を整えることをテーマにしたムック本。

文面にツッコミどころはあれど、この本に載っていることを試したら寝つきがよくなったので読んでよかったです。コロナウイルス関連のストレスのせいでなかなか寝付けない日々が続いていたんですよね。

Primeリーディングで読んだ本です。Primeリーディングは本屋では手に取らないだろう本を手に取ってみるきっかけになって、感覚が図書館と似ています。

honkuimusi.hatenablog.com

Tarzan特別編集 決定版 自律神経を整える。

Tarzan特別編集 決定版 自律神経を整える。

  • 発売日: 2020/06/03
  • メディア: Kindle版
 

 

 

頑固だけど悲劇の無症状キャリア 『病魔という悪の物語 チフスのメアリー』

腸チフスの無症状キャリアであり、無自覚に周囲を感染させてしまった「チフスのメアリー」の隔離について述べた本。

食に関する仕事に就くのを禁止されているはずなのに再び食品関連の仕事をしたり、メアリー自身もかなり頑固な女性なんですが、だからといってこんな長期間隔離されるいわれはないんですよね。

全体としてはいまいちはっきりしない部分もありますが、「個人の自由」と「公衆衛生」が対立したとき、どちらを選ぶかという問題を過去から学べます。

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女性にとって子どもの価値が変わってきている『子どもという価値 少子化時代の女性の心理』

かつて「子どもを持つ・持たない」は選べるものではなく、持つことが義務だった。そうではなくなった世界で子どもを持つ意味を調べ考える本。

かなりセンセーショナルなタイトルですが、内容としてはいたって真面目です。女性にとって、「子どもが一番」という価値観が古くなりつつあることを、データとともに解説しています。

コロナウイルスのせいで少子化が加速してしまったというニュースがあり、これもタイムリーに読めた本でした。

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 血筋もコネもない人間から見た自民党『自民党で選挙と議員をやりました』

誘いを受け、自民党で出馬することになった一般男性がその経緯と体験を綴った本。

自民党のあまりにも強すぎる「地域の縁」や、草の根の活動。こりゃそう簡単には勝てませんわ。

同時に、日本の選挙システムの奇妙さ、出馬する人間の金銭的・精神的苦労も描かれています。

2020年は良くも悪くも政治について考えざるを得ない年でした。与党の内部にいた人から、その実態を聞けたことはよかったです。

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自民党で選挙と議員をやりました (角川SSC新書)

自民党で選挙と議員をやりました (角川SSC新書)

  • 作者:山内 和彦
  • 発売日: 2007/12/01
  • メディア: 新書
 

 

10代向けにウイルスのしくみについて語る 『ウイルスってなんだろう』

10代向けにウイルスの発見の歴史やそのしくみを解説した新書。

高校生物くらいの知識がないと少し難しいですが、ウイルスがどのように人間に感染するかや、ウイルスを利用した研究の内容などが解説されています。

コロナウイルス言うけど、そもそもウイルスって何だよ! という人にはおすすめの本です。

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ウイルスってなんだろう (岩波ジュニア新書)

ウイルスってなんだろう (岩波ジュニア新書)

  • 作者:岡田 吉美
  • 発売日: 2005/04/20
  • メディア: 新書
 

 

テキスト主体本:小説

百合カップルが家父長制に殴り込みをかける『ツインスター・サイクロン・ランナウェイ』

ごりごりの家父長制が支配する宇宙漁業社会で、女性ペアの漁師として挑戦する百合カップルの奮闘を描く。

ろくでもない体制に抗い、恋をして、ハッピーエンドで締めるわかりやすいエンタメ。そしてそれを「百合」と「漁業」でやるところが面白いです。

徹頭徹尾前向きな作品で、読んでいて元気が出ました。

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 「楽しい超監視社会」が怖すぎ『人間たちの話』

『横浜駅SF』を書いた柞刈湯葉の短編集。

本というより短編の感想になってしまうんですが、1964年のパロデイ小説である「楽しい超監視社会」が怖すぎるんですよね。あらゆるものが相互監視され、プライバシーのない社会になりつつも、民衆は結構楽しく生きている、という作品。

楽しく生きているといってもマイノリティは非常に生きづらい社会であることが示され、情報社会の未来として本当に怖いです。

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人間たちの話 (ハヤカワ文庫JA)

人間たちの話 (ハヤカワ文庫JA)

  • 作者:柞刈 湯葉
  • 発売日: 2020/03/18
  • メディア: Kindle版
 

 

 

 サイコパス教師が最悪に最悪を重ねる『悪の教典』

サイコパス教師蓮実が、殺人含めて次々と邪悪な犯罪を犯していく犯罪小説。

あまり深いメッセージ性がなさそうなので気楽に露悪的な描写を楽しめます。フィクションの中の邪悪って突き詰めるとすっきりするところがありますよね。

何だか自分の中の邪悪な感情がデトックスされるようで心地よかったです。逆にネガティブなときに読んでよかった。

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悪の教典(上) (文春文庫)

悪の教典(上) (文春文庫)

  • 作者:貴志 祐介
  • 発売日: 2012/09/20
  • メディア: Kindle版
 

 

 無限に俺が増えていく不条理SF『俺俺』

主人公「俺」は、街のあらゆるところに「俺」が増えていることに気付く。アイデンティティの喪失を描いた本。

読んだのがTwitterに疲れているときだったのでタイムリーでした。SNSって「わたしとあなた」の境界線があいまいになるところがあると思います。人のために怒ったり、同族嫌悪的な感情を他人に抱いたり。

「共感」というものに疲れている人に読んでほしい作品です。

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俺俺

俺俺

  • 作者:星野智幸
  • 発売日: 2013/04/26
  • メディア: Kindle版
 

 

 

 漫画

見たくないものにふたをする社会と男女の恋愛ファンタジー『天顕祭』

毒で汚染された世界での大きなお祭り「天顕祭」を巡って男女が運命に抗うSFファンタジー。

これは再読なのですが、「見たくないものにふたをし続けてきた社会」「社会に漂ううっすらとした不安」「なんとなく長いものに巻かれて生きる罪」という描写がタイムリーで、今年読み返せてよかったです。

そんなことを気にしなくても恋愛ものとして面白いです。

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天顕祭

天顕祭

  • 作者:白井弓子
  • 発売日: 2017/06/01
  • メディア: Kindle版
 

 

 優しいけれどきれいごとは言わない心地よさ『さんさん録』

妻を亡くしてすさんでいた老人が、息子夫婦の家に居候することをきっかけに主夫となって働く話。

くさくさしていた時期だったので優しいけれどきれいごとは言わない作風に安心しました。2巻完結でさくっと読めるのもいい。

愛する人を失った悲しみとどうにか付き合いつつ、老後を過ごしていく主人公がよかったです。

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さんさん録 : 1 (アクションコミックス)

さんさん録 : 1 (アクションコミックス)

 

 

「魔女」は病だと言った医者の物語『魔女をまもる。』

魔女裁判の嵐が吹き荒れるドイツで、「魔女は治療すべき存在である」と主張した医師の物語。

今でいう統合失調症だったり認知症だったり、不可解な行動をする人間に対して「魔女」というレッテルを貼り恐怖を煽っていく恐ろしさ。恐怖が人間を愚かにするのだと感じます。

コロナ禍でのデマ、流言の飛び交いっぷりにも通じるところがあります。

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魔女をまもる。(上) (Nemuki+コミックス)

魔女をまもる。(上) (Nemuki+コミックス)

 

 

人があまり死なない戦争漫画『ワールドトリガー』

異世界「近界(ネイバーフット)」からやってきて人を攫う近界人(ネイバー)。彼らと戦う組織ボーダーの話。

人が(あまり)死なない戦争漫画です。トリオン体というアバター的な体を作って戦うので物理的な死はほとんどありません。それでガチガチの頭脳バトルをするのが楽しいです。

ワートリの世界にも政治戦や外交はあるんですが、現実とは直接は無関係なところも読んでいて楽でした。

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ワールドトリガー 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)

ワールドトリガー 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)

  • 作者:葦原大介
  • 発売日: 2013/10/04
  • メディア: Kindle版
 

 

 

 何気ないご飯を楽しく描く『良いかげんごはん』

著者がひたすらいい加減なごはんを食べるだけのコミックエッセイ。

コロナウイルスが蔓延してからというものこういう何気ない日常の話が染みるようになりました。でもやっぱり「日常」の解像度が高いのがミソですよね。

その点この作品は何かを食べている著者が本当にいきいきしていて楽しそうでほほえましかったです。

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良いかげんごはん

良いかげんごはん

 

 

 片づけを通して家族の闇を垣間見る『家族が片づけられない』

ごみ屋敷の実家を片付けながら、自分と家族の闇について向き合うことになるコミックエッセイ。。

わかりやすいオチがある作品ではないのですが、失ってしまった自尊心の中で、それでも生きていかなくてはならない人間の悲しさがありました。

追い詰められてめちゃくちゃになった精神状態の人間がよく描かれています。

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家族が片づけられない (コミックエッセイの森)

家族が片づけられない (コミックエッセイの森)

 

 

 

ゲーム

ポジティブで業の深いスポーツゲーム「ポケットモンスターシールド」

ポケモンバトルがプロスポーツ化された地域、「ガラル」で主人公がチャンピオンを目指すRPG。

全体的にめちゃくちゃポジティブな話で元気が出ます。ポケモンバトルの演出もかっこよくていい。

一方でスランプに陥るライバル、ダイマックスバトルの盛り上がりについて行けず衰退する街など、業の深いネタも存在するのが面白いです。

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ポケットモンスター シールド -Switch

ポケットモンスター シールド -Switch

  • 発売日: 2019/11/15
  • メディア: Video Game
 

 

 

根本的に価値観が違えば殺し合うしかない『ファイアーエムブレム 風花雪月』

主人公が士官学校の先生になって生徒たちを育てて戦うRPG。

というのは前半だけで、後半は他のクラスの子たちと殺し合う戦争パートになります。

戦争に至る理由も丁寧に説明されていて、「価値観が違えば殺し合うしかない」というテーマはある意味潔いです。戦争が罪である現実では、そんなことするわけにはいかないんですが……。

その潔さが逆にすっきりしてて好きです。

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ファイアーエムブレム 風花雪月 -Switch

ファイアーエムブレム 風花雪月 -Switch

  • 発売日: 2019/07/26
  • メディア: Video Game
 

 

以上です。こうして見ると、「こんな状況だからこそ読んでよかった」と思える作品に出会えていますね。そういう運命の出会いがあるからこそ、感想ブログを書くのは楽しいです。

そして今年も、ブログの読者さんたちが「運命の作品」に出会える手助けをできたらと思います。