ブックワームのひとりごと

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いい子過ぎる高校生と大人の女性が親の不倫を巡って迷走する―田島列島『水は海に向かって流れる』

水は海に向かって流れる(1) (週刊少年マガジンコミックス)

 

あらすじ・概要

叔父の家に居候することになった直達。そこには叔父を始めとする奇妙な住民たちがいた。そこに暮らし始めた直達は、住民のひとり、榊が「自分の父親の不倫相手の娘」だということを知ってしまう。お互いに気まずさと罪悪感を抱えながら、榊と直達は迷走を始める。

 

 

伝えたいことが伝わらない、伝えてもうまく行かない

伝えたいことが伝わらない、伝えてもうまく行くわけではない、自分自身の気持ちすらうまく言葉にできない……というコミュニケーション不全の話でした。

最初は気を使いすぎる登場人物たちにいらいらしたんですが、だんだん「気を使いすぎるという部分に問題がある」という話だと気づきました。

直達も、榊もとても優しくて、相手を傷つけることを恐れています。だからこそ感情が行き詰ってしまって迷子になります。交流を重ねることで自分自身の感情と向き合い、己の中に「怒り」があることに気づきます。

そう、彼らは親の不倫で、確かに傷つき人生を変えられてしまったのです。そのことについてきちんと怒りを表明するきっかけがなくて苦しんでいた。だからこれは怒りの物語なのです。

 

迷いながら出したふたりの出した結論は、「いい子」の回答ではなかったかもしれません。しかし、無理に優しく生きるのではなく、自分の中の望みや怒りをきちんと認識して行動することにしたというオチはさわやかでした。

途中経過はこんがらがってややこしい話でしたが、すっきり読み切ることができました。

 

◎ここからネタバレ◎

 

しかし、最後に主人公ふたりが恋人になってしまったのにはがっかりしてしまいました。

ストーリーの筋としては間違ってはいないんだけれど、くっつかないほうが私の趣味には合っていましたね。

恋人未満のふたりであってほしかったです。

本当に個人的趣味なのでくっついたからつまらないってわけじゃないんですけど……。