ブックワームのひとりごと

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「少女か、それとも世界か」というコンセプトにとても正直―『天気の子』

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天気の子

 

あらすじ・概要

異常気象で毎日雨が降り続ける東京。離島から家出をしてきた少年・穂高はあやしげな雑誌の編集部に拾われ、アルバイトをすることになる。そんな中出会った少女、陽菜は空に祈ると100%晴れにできる能力を持っていた。穂高は陽菜とその弟と組み、「晴れ女」として晴れを呼ぶ仕事をすることになる。

 

少年少女の破滅的な恋を徹底的に美化して描く

うん、傑作かと聞かれるとそうでもないけど、個人的には嫌いではない映画でした。

なぜかというとこの作品、コンセプトに忠実で正直だからです。「世界か少女か、の二者択一」「少年少女の破滅的な逃避行」「あまりにも美しい破壊」。これらが描きたかったんだな、ということが映像からもシナリオからもはっきり伝わってきます。

雨続きで混乱に陥る東京はあまりにも美しく、陽菜が呼ぶ晴れ間は神が降臨したかのように神々しい。そして少年少女の愚かで刹那的で終わりの見えている恋を、徹底的に美化して描きます。

 

そのコンセプトを実現させるために、倫理をものすごい勢いで犠牲にしています。災害によって犠牲となった人はどうでもいいのか、子どもが庇護されないことを肯定していいのか、目的のために暴力や脅しを使っていいのか。

この作品が受け入れられない人がいるというのも、よくわかるんですよね。当然のことなので。

しかし、それもわざとやっているんだろうなと思うんですよ。倫理をぶっとばしてもこの作品が作りたかったというのを感じます。そうでなければこんなクオリティで作らないです。

 

しかしメタな話になりますが、あれだけ『君の名は』でヒットを飛ばしておいて、こんな良くも悪くもアマチュア脚本みたいな作品作るのすごいですよ。

一部の人には熱狂的に受けるだろうけど、決して万人受けはしない、むしろしちゃだめな映画です。これが広く受け入れられたら社会の倫理の方を疑いますので……。

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  • 発売日: 2020/03/04
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