ブックワームのひとりごと

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途切れ途切れの時空をさまよう少女とそれを助ける利発な少年―高畑京一郎『タイム・リープ あしたはきのう』

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タイム・リープ<上> あしたはきのう (電撃文庫)

 

あらすじ・概要

高校生の翔花は、ある日目覚めると月曜日のはずのその日は火曜日だった。その後も次々に時系列が飛び、翔花は混乱する。翔花は記憶のない月曜日の日記に書いてあった内容に従い、クラスメイトの若松和彦に相談してみる。初めは疑っていた若松だったが、翔花の様子を見て彼女に協力する。

 

 

パズルのようなプロットで時空を超えたラブロマンスを

上下巻だけれどさほど長くないのでまとめての感想です。

いや~面白い!

パズルのようなプロットが徐々にはまっていき、話が進むにつれて全体像がわかってきます。そして最後に迎える大団円はとても美しかったです。

 

ちょっとひねくれているものの、頭がよく義理堅いイケメンが女の子を助けてくれる話なので、女性にもウケそう。

いわゆるスカした野郎で失礼な発言も多いんですが、必ず約束は守ってくれるし、頭の回転が速くて状況の把握も早い。

そして若松が普通の時間を生きているのに対して、翔花が途切れ途切れの時間をさまよっているので、時空を超えたラブロマンスとしての性質もあります。

 

しかし、ネタバレが致命的な作品のため、詳しく説明すると面白さが減ってしまうのが難点です。感想が書きにくい……。

かいつまんで私の心の動きだけ説明すると、

 

ふーんこういう話なのね

 ↓

えっそういう!? えっ!?

 ↓

ええええあれもこれも伏線!?

 ↓

無駄なところひとつもなく終わった……。

 

という感じです。

 

キャラクターの造形や口調、文体に古臭いところがあるので、「今でも色あせない」とは言えません。しかしそれもレトロな雰囲気でで悪くありませんでした。

面白かった!

 

しかしあとがきは美しい物語の余韻が台無しで萎えました。こんなしょうもないあとがき書くくらいなら、いっそ載せない勇気を持ってほしい。