あらすじ・概要
細胞たちが人の姿をしている世界。赤血球になったばかりの青年は、これからの仕事に期待をふくらませていた。しかしその体の主は、暴飲暴食、アルコールやたばこの摂取、運動不足、徹夜など、不摂生な行動を繰り返した。そんな体の中で、細胞たちは「ブラック」な労働を強いられていた。
人体を舞台にした圧倒的鬱アニメ
ちょっとブラックなほのぼの細胞擬人化アニメだと思っていたら、圧倒的鬱アニメでした。こんな……こんなことってある!?
社会(この場合は体)の希望に満ち溢れていた新人が、劣悪な労働環境を目の前にして理想と現実の間で苦しみ、それでもどうにか前に進もうと苦しみます。ブラック企業お仕事アニメだこれ。
特に10話の胃潰瘍編の話にめちゃくちゃびっくりしました。いや……本当にこんなことするアニメだとは思いませんでした。しばらく呆然としましたよ。何度も言いますがこれは細胞擬人化アニメです。
絵柄と描写がコミカルだからマイルドになりはしているんですが、闇が深すぎます。怖い。
いい感じに終わったなと思わせておいて最後の最後で落とすところもひどいですね……こんな続編の見据え方ありますか? 赤血球かわいそう!!
作画も素晴らしいです。「ここ作画手抜きだなあ」と思う部分が全話を通してありませんでした。予算が潤沢なんでしょうか。
特にキャラクターの表情がよかったです。アニメというより漫画っぽい表現を残している顔芸っぷりでした。
しかし、「健康を大事にしよう」というメッセージはこれだけだとただの説教に聞こえてしまいますが、細胞を擬人化して、彼らに苦労させることで届きやすくするところはすごいです。
「細胞かわいそう、健康に生きよう」と自然と思えましたからね。現実には細胞はシステムの一部でしかないし、自我はないのですけれど。
「お米には仏様が宿っているんだよ」という言葉の理由がわかった気がします。
あと赤血球と白血球の関係がおいしかったです。強い女と真面目男が、恋愛未満だけれど憎からず思っているという。でも細胞に恋愛の概念ってあるんでしょうか。
かっこいい戦う女が好きな人におすすめです。