道満清明『ニッケルオデオン 赤』
漫画短編集。
ほのぼのとした絵柄とは裏腹にグロかったりダークなネタも多いです。すごくエキサイティングというわけではないけれど、空き時間にさくっと読むのにはちょうどいい感じです。
あと読者さん向けの情報なんですがBL回も百合回もあります。どちらも面白いです。
話の切り替わり部分にイラストカットがおまけでつけられていて、それもおかしくて好きです。
中島敦『文字禍』
古代アッシリアで文字の精霊について調べる老博士の話。
こういう話を見ると『天は赤い河のほとり』の絵柄で想像してしまいます。いや、国は違うんですけど。
それは文字の災いというより妄想では? という部分もあるんですが、一度文字にとり憑かれてしまえば元には戻れないのは本好きとしてよくわかります。
文字に侵食されていく人間を古風な言葉で語るのが楽しい。
森永みぐ『へたっぴさんの身体の描き方入門 アタリの取り方編』
初心者向けにアタリの取り方を解説する漫画交じりの本。
初心者なのでこのくらいの難しさがちょうどよかったです。解剖学の話とかされてもわからないんですよね。
アドバイスも気軽にまねできそうなものが多く、参考にしやすかったです。
しかしまだ絵はうまくなってはいません。
OCHABI Institute『線一本からはじめる伝わる絵の描き方 ロジカルデッサンの技法』
ロジカルな方法で絵を描く指南書。
かなり初歩的な内容だけれどそこがよかったです。
「立体を意識しよう」「よく見て描こう」とは言われますが、実際のところどういう方法を取ればいいのかわかりません。この本のアドバイスは実際に試せるものばかりなので参考になります。
とりあえず、簡単な立体を描けるようにならなければ複雑なものも描けないんだな、と思って直線や円、立方体をたくさん描いています。
沼野正子『マッちゃん84歳 人生店じまいはムズカシイ』
絵本作家の著者が自らの老いや母親の看取りを描くコミックエッセイ。
明確なオチやメッセージ性がなく、感想が書きにくいんですがそれゆえにリアリティがあります。
何かと体の不調が目立つようになった日々や、太平洋戦争の終戦を予言した拝み屋のこと、何気ない日常の話なのに何だか染みます。
わかりにくい作品なんですが、好きな人は好きなタイプの漫画です。