あらすじ・概要
仲良く暮らすすみっコたちは、ある日飛び出す絵本の中に吸い込まれてしまう。そこで各国の昔話の世界だった。そこで出会ったのは、灰色のひよこ。なかまがいないというその子に、すみっコたちはもといた家を探してあげようと奔走する。
物語のないモノが物語を得るまで
見ていて泣きそうになってしまいました。誰も死なないし大きなけがもしないんですけれど、それでもこの物語はどうしようもなく悲しいです。
物語の世界にいながらも、己の物語を持たないひよこ。そんなひよこの疎外感、孤独感がすごく丁寧に描かれていてものすごくつらいです。こんなシンプルな顔でよくもこんな表情や感情のニュアンスを出せるな……。
そんなひよこのために奔走するすみっコたちもいい子たちだだということがよくわかります。
そして「自分の物語がないときはどうすればいいか」というとき、「自分で自分の物語を作ればいいじゃん」という方向に持っていったのが救いでした。
ひよこ自身に元になる物語がなくても、すみっコたちと出会い、旅をして、彼らを助けたことは確かにひよこの物語なんですよね。だからこそエンドロールも、与えられただけの後日談ではなくひよこ自身の行動によってもたらされたのだと思います。
すみっコたちとひよこはもう直接出会うことはないのでしょうが、すみっコと出会うことでひよこは孤独を癒すことができました。結末は別離であっても、実質的なハッピーエンドなんですよね。
もちろんすみっコたちの映像自体もかわいくて、彼らが動くたびにきゅんきゅんしました。すみっコぐらしそのものは今までそこまで好きじゃなかったんですが、魅力がわかった気がします。
すみっコ飼いたい、特にひよこを飼いたい……。おいしいものたくさん食べさせてあげたい。(これは妄想です)
あくまで「ファンシーキャラクターの映画として面白い」ので、ガチガチの映画として見ると裏切られるかもしれません。
でもこの絵柄、世界観、テーマでできる全力を見せてもらったなという映画でした。