ブックワームのひとりごと

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アイデアはいいけど減点要素が多すぎる―エイドリアン・マッキンティ『ザ・チェーン 連鎖誘拐』

ザ・チェーン 連鎖誘拐 上 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

 

あらすじ・概要

シングルマザーのレイチェルは、ある日娘のカイリーを誘拐される。それは「チェーン」と呼ばれる数珠つなぎの誘拐事件で、レイチェル自身も子どもを誘拐しなければカイリーは解放されないという。レイチェルは元夫の兄弟であるピートを巻き込み、子どもの誘拐を試みる。

 

アメリカのエンタメの嫌なところが実装されちゃっている

プロットや設定は面白いんですけれど、それ以外の部分で減点要素が多すぎます。

 

まず私が「ここが嫌だよアメリカのエンタメ」と思っている部分が軒並み実装されていたのがつらかったです。

テンプレじみた「子どものためなら何でもするシングルマザー」「ヒロインを助けるちょっとアウトローな感じの元軍人」の像、そして取ってつけたような恋愛要素……。これどこかのハリウッド映画で見たわって感じです。

 

さらにチェーンの首謀者も、前半の底知れない雰囲気とは裏腹に小物感があったのががっかりでした。こんなしょーもない動機であれこれされるのは読者としてもええ……。って感じでしたよ。

主人公も敵側も窮地に陥る原因はうっかりミスだし、倒しても倒されても「そりゃ当然だろ」と思ってあまり爽快感がないんですよね。

 

チェーンという誘拐システムのアイデアそのものは素晴らしいし、それに巻き込まれ翻弄されながら、一矢報いようとする大まかな筋自体は楽しめました。しかし細部がひどくてどうも全力で楽しみ切れない作品でしたね。