ブックワームのひとりごと

読書中心に好きなものの話をするブログです。内容の転載はお断りします。

男同士の距離が近い話なのに主人公がホモフォビアなのつらいわ―嬉野君『金星特急1』

このブログには広告・アフィリエイトのリンクが含まれます。

金星特急(1) (ウィングス・ノヴェル)

 

あらすじ・概要

「金星と結婚すれば、この世の栄華は思いのまま」絶世の美女金星に一目ぼれした錆丸は、金星の花婿を選ぶ金星特急に乗り込む。しかしその列車からは誰も帰ってきたことがなかった。列車に乗り合わせたユースタス、砂鉄と一緒に、錆丸は花婿候補として旅をする。

 

男同士の距離感が近いのにホモフォビアは持ち出してくるんかい

「この作品をBLにしたくない」のはよくわかるんですが、そのためにキャラクターのホモフォビアを持ち出さなくてもいいだろって思います。語り手である主人公が、他のキャラクターを「ホモっぽい」と言うつらさよ……。

ストーリー上主人公が異性愛者である必要はあるんですが、それにしたって強調しすぎてないですか? さらっと触れるだけで十分な気がします。

その一方で、「男同士の距離感の近い描写」がわんさか出てくるので何とも居心地の悪い気分にさせられます。男同士はキャッキャウフフさせたいが「恋愛」は否定するのか。こんなことならはっきりBL書いてもらった方がすっきりします。

 

これは11年前の作品なので、しょうがない部分もあります。最近はこういう作品減ってくれて感謝してます。

 

ストーリー自体は面白いです。謎の美女「金星」と結婚するために乗る列車、というアイデアは独創的です。不在の美女に次から次へ危ない目に遭わせられる花婿候補にはちょっとサディスティックな喜びを感じてしまいますね。

複数の時代が交じり合ったような不思議な世界観も魅力的で、遊郭があったと思えば現実世界では作れないような建造物が登場します。

いい意味で予想のつかない作品で、ストーリーを引っ張っていく力があります。続きが気になってしまいます。

 

続き自体は気になるんですけど、このジェンダー観の作品を2021年に読むのはきついので、ここで脱落ですかね……。

金星特急(1) (ウィングス・ノヴェル)

金星特急(1) (ウィングス・ノヴェル)

  • 作者:嬉野君
  • 発売日: 2019/01/03
  • メディア: Kindle版
 
金星特急(2) (ウィングス・ノヴェル)

金星特急(2) (ウィングス・ノヴェル)

  • 作者:嬉野君
  • 発売日: 2019/02/07
  • メディア: Kindle版