あらすじ・概要
岐阜県美術館で監視係をしている著者。展示室の片隅に座り、客が作品を触らないように注意したり、作品の害になるかもしれない虫を捕獲したりしている。美術館を訪れるさまざまな客を見つめながら、美術館の意義や展示係のやりがいについて語っていく。
ハイセンスでおしゃれな美術館らしいコミックエッセイ
Kindle Unlimitedで読了。
美術館に行く趣味のある人ならわかるであろう、「展示室の片隅に座っている人」。その仕事をする本人が描いたコミックエッセイです。
登場人物はすべて二足歩行する擬人化された猫の姿で描かれていて、コミックエッセイでありながら絵本のような雰囲気があります。
さらりと力の抜けた絵でありながらハイセンスでおしゃれな雰囲気です。さすが美術館のコミックエッセイ……。
ただ文字がすべて手書きなのはちょっと読みづらいです。スマホよりタブレット推奨ですね。
内容は、あの「展示室の片隅に座っている人」が普段何をしているかがわかるというお仕事エッセイ。
客が作品を触らないように注意したり、大きすぎる私語を注意したり……。
特に面白かったのが展示室内に出た虫を捕まえるエピソード。展示室に出た虫はすべて捕獲して報告書を書かなければならないそうです。
作品を食べてしまうなど有害な虫もいるからでしょうね。そんな仕事をしているとは思いませんでした。
著者は堂々と虫を捕まえていてその肝っ玉に好感を持ちました。
また、岐阜県美術館が自ら発信した漫画なだけあって、その施設ならではのエピソードがふんだんに盛り込まれています。
淡水魚が昇ってきて浅瀬で死にそうになっているシーンなど、地味だけれどローカル感があって楽しかったです。
作品を通してポジティブかつ上品な雰囲気で、読んでいると美術館に行きたくなってきます。
コロナ禍のこともあってしばらく美術館には行けていなかったんですが、緊急事態宣言が開けたらまた行きたいですね。