あらすじ・概要
夫婦で漫画家をしている堀田あきおとかよ。夫、あきおはかつて手塚治虫のアシスタントをしていた。入社したきっかけ、漫画部とアニメ部の軋轢、漫画家を目指すアシスタントたちの交流を当時食べた食事とともに描き出す。懐かしい漫画のアシスタント事情を知ることのできるコミックエッセイ。
漫画の神様と仕事をするということ
以前この漫画家を「手塚治虫の愛弟子」と評したキャッチコピーを見たことがあるのですが、これを読んでいると、アシスタントたちにとっても手塚治虫は雲の上の人であったことがわかります。
基本別々の階で作業をしているので顔を合わせることは少なく、すれ違ってもそうそう気軽に話しかけられる関係ではありません。この描写が正しければ「愛弟子」は言いすぎだと思います(その事実を知っても笑えるからいいけど)。
しかしふとしたときに手塚治虫がアシスタントを気遣って声をかけたり、飲み会に参加してくれたりするシーンはこちらも嬉しくなってきます。優しくされて喜ぶアシスタントたちがほほえましい。
漫画で稼いだお金をアニメで使い込み、漫画の作画班のボーナスを減らしたエピソードを見ると、漫画では神様だったけれど経営者としては問題があったのだと思います。汲めども汲めども尽きない熱意ゆえなんですが、振り回される方は怒りますよね。
まあアシスタントたちも会社と交渉するなど、唯々諾々と従っているわけではないところが少しほっとしました。
私は高田馬場に住んでいたことがあるので、あの町の俗っぽいところや下町風情のあるところを思い出しながら読みました。昔と今は違いますが、何となく雰囲気は引き継がれている気がします。
高田馬場駅には大きな手塚治虫キャラを描いた壁画があります。通りがかったら見てください。