ブックワームのひとりごと

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軽い気持ちで認知症の祖父母と同居したら大変なことになりました―青山ゆずこ『ばーちゃんがゴリラになっちゃった。 祖父母そろって認知症』

ばーちゃんがゴリラになっちゃった。: 祖父母そろって認知症

 

あらすじ・概要

著者の母方の祖父母は、夫婦そろって認知症になってしまった。軽い気持ちから祖父母の家に住むことを家族に申し入れた著者だったが、それが過酷な介護の始まりだった。暴力・暴言が激しく介護サービスを拒む祖母と、他の人間に興味を示さない祖父の相手は、想像以上に大変で……。

 

最善の選択肢が正解とは限らない

介護を軽い気持ちで引き受けると大変なことになるという例でした。

暴言だったり反抗的だったりはまだしも、直接暴力を振るわれるのは身の危険を感じます。認知症の方向性はいろいろあるけど暴力の方に行くのはつらいですね……。

 

一方で、著者の親戚は家族仲がよく、頼れる人間が多いのはよかったと思います。しかも言いたいことをはっきり言うタイプの人が多いので、あまり腹の読み合いをしなくていいのが介護にはプラスだったのではないでしょうか。

一度共同戦線が崩壊しかけたシーンもあるけど、話し合うことで持ち直したのはさすがです。

周囲にしっかりした人が多いのは大事。

 

祖父が倒れ、お見舞いに行く車の中で話した祖母の言葉が印象的でした。

「あたしの頭はおかしくなっちゃったからさ もう何も分からないんだよ……」

(P135)

暴れる祖母自身も、「ふつう」でなくなった内面に葛藤を抱き、苦しみを感じていることがわかります。

 

最後の最後に祖母のQOLを上げるのは、家族の介護ではなかったことがわかります。最善だと思った選択肢が必ずしも高齢者の利益になるとは限らないのだと感じました。ともかく落ち着いたところで漫画が終わってよかったです。