ブックワームのひとりごと

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ヒーローとヒロインの言葉が通じないファンタジー―山咲黒『呪われた伯爵と月愛づる姫君 おとぎ話の魔女』

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呪われた伯爵と月愛づる姫君 おとぎ話の魔女 (ビーズログ文庫)

 

あらすじ・概要

入内を控えていた少女、待宵は、目覚めると自分が知らない場所へ迷い込んでいるのに気づく。身寄りのない彼女の面倒を見てくれたのは、ジーン=バイロン伯爵。言葉がわからないなりに交流をしていくふたりだが、ジーンが待宵を助けたのには理由があった。

 

話が通じないのですれ違いや勘違いをしまくる

面白いのが主人公ふたりの言葉が通じないこと。月の世界(だと本人は思っている)に連れてこられ、言葉が通じないゆえにすれ違いや誤解が多発するストーリーは、ほほえましかったです。

うっかりするとシリアスになりそうなテーマです。しかし待宵には元々「ここではないどこか」に行ってみたいという願望があり、この場所に連れてこられたことを面白がっているという事実があるので基本的に明るい作品です。

見た目や言葉遣いとは裏腹に、結構積極的な待宵はかわいい。

 

ヒーローのバイロン伯爵も、最初は待宵を利用して社交界に返り咲こうとしていて、単純に「かっこよくて優しくてヒロインを肯定してくれるキャラ」ではないところが面白いです。

そういう裏のある人間が、純真で明るい待宵にほだされてしまうところもかわいいです。

 

脇役キャラも主人公サイドはみんないい人でほっこりします。私のお気に入りはアルマ。

シリーズものの一巻という感じで、回収されていない伏線もありますが、これはこれで楽しめました。