あらすじ・概要
ある政策について民衆に是非を問う、直接民主主義の一種「住民投票」。著者は日本各地で行われた住民投票の経緯と結果を調べ、その必要性を語る。「民意」はどのように政治に取り入れられるべきか……。
人間は昔より賢くなっていると信じている
も、ものすごく「左!!」どこがかというと人間の善意を信じているところが!
良くも悪くもSNSが発達する前に書かれた本だなあと感じます。人間は昔より賢くなっていると根拠なく信じ、メディアへの信頼も何だかんだあります。岩波新書は古い本でも面白いものが多いけれど、この本の論旨はもはや現代には合ってないと思います。
民主主義を突き詰めると、「人間のほとんどは正しい判断ができるはずだ」という前提があるんですが、その前提がもはや崩れ始めているのが現代なんですよね。
この当時の価値観を知る上ではいいかもしれません。
しかし私もどっちかというと左の自覚ありますが、著者ほどではないなと思いました。こんなに無邪気に進歩を信じられないです。
作者の主張自体はいまいち信じられませんでしたが、実際に行われた住民投票の経緯や結果をまとめたパートは面白かったです。
公職選挙法とは違ってわりとなんでもありなルールゆえに戦略がすごいです。戸別訪問して投票してくださいと言っても、その辺の人がビラを配ってもOK。賛成・反対両方泥臭い戦いになります。
否応なく政治の駆け引きに巻き込まれる住民たちの姿は、不謹慎かもしれませんが読んでいて楽しかったです。
特に何度も住民投票の結果をうやむやにされている沖縄県は大変そうですね。私もこの日本の平和を享受している身だからあまりとやかく言えませんが……。
作者の主張自体はあまりおすすめしませんが、資料としてはいいかも。