姫野桂『「発達障害かも?」という人のための「生きづらさ」解消ライフハック』
コラムや対談は面白いんですが、本題のハックの部分が雑すぎます。人間関係に悩む人に「周りを観察して真似しよう!」というアドバイスはいかがなものでしょうか。それができないから悩んでいるんだと思います。
日常で目の前の人にそういうアドバイスするのと、書籍として記録に残すのは重みが違います。もっと厳選してハックを載せた方がいいと思います。
巻末の対談では発達障害同士のジェネレーションギャップについて話していて、それは参考になりました。やっぱり社会の貧困は障害者にも波及していますよね。
Kindle Unlimitedで参考程度に読むならいいですが、紙で一冊買うとがっかりするかもしれません。
濱久実『よだかは唄わない』
幼馴染と事件をきっかけに再会、主人公が彼が犯人なのでは? とうっすら疑う話。
BLサスペンスと聞いて興味を持って読んだんだけれど、サスペンス要素は雰囲気程度で思っていたのとは違いました。
悪くはないんですがもう一声ほしい感じでした。
曽根愛『実家モヤモヤ女子 応援コミックエッセイ そろそろ実家を離れたい』
実家を出ようかなと思っている女性がぐだぐだの日常を過ごすコミックエッセイ。
オチらしいオチもメッセージ性もないのでちょっと評価がしづらいです。でも「実家暮らしの女性」を描く能力は高かったです。
愛はあるものの親と暮らす面倒くささ、家を離れている人たちへの劣等感がリアリティがあって面白かったです。
まさに家でだらだらしているときに読むべき作品ですね。
みえっち『統合失調症だけど、がんばって生きています』
統合失調症を発症した女性が入院や結婚について語る本。
わりと周りに恵まれた人なので今現在ものすごくつらい人が読むとがっかりするかもしれません。しかしそれはどれだけ周りに恵まれていようと発症するときは発症するということでもあります。
ただ恋愛の失敗談を見ると彼女はもともと恋愛に興味があって、だからこそ結婚相手にも出会えたのだろうと思います。出会い系にも登録していますし。
ゲームさんぽ『あつ森』で学ぶアートの世界の裏側 国立美術館の主任研究員に聞く
長らくゲーム実況というものが苦手だったんですが、これはすごく見やすかったです。
思うに「ゲームと全く関係ない話をしない」「ゲームの内容を茶化さない」「ゲストに失礼なことを言わない」「企画側もちゃんとゲームについて調べてから収録に臨んでいる」と、個人的にゲーム実況で嫌だなと思ったところがクリアされています。
美術館によくあるガラスケースの話とか、作品のタイトルについてとか、普通に暮らしていたら知ることのない美術館の裏側について話してもらえて面白かったです。聞いていると美術館に行きたくなってきます。
そして現実の美術館とゲームの美術館の差異を丁寧に紐解いていくところはわくわくしました。