ブックワームのひとりごと

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優しく穏やかに、大学生に性行為について教える―村瀬雪浩『3万人の大学生が学んだ恋愛で一番大切な”性”のはなし』

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3万人の大学生が学んだ 恋愛で一番大切な“性”のはなし

 

あらすじ・概要

大学で「セクソロジー」を教えている著者。その講義を要約し、さらに学生のコメントを一冊にまとめた。デートDVとは何か、お互いに対等なセックスのためにはどうすればいいのか。また、避妊や性感染症、ジェンダーの問題、結婚についてなど、性についてついて回る情報にも触れる。

 

真面目に性について教えてくれる本

内容としてはすでに知っているものも多かったですが、それよりも一貫した語り口の優しさがよかったです。

学生のコメントには赤裸々な性の悩みが書かれており、著者はそれに対して真摯に考えています。若い時代に、性について茶化すことをせずに真面目に耳を傾けてくれる人に出会えた学生たちがうらやましいです。

著者の言葉と学生たちのコメントを見ていると、性別・年代に関わらず性について相談できる人が必要だと感じます。でもとてもデリケートでプライベートであるからこそ、口が堅く知識も豊富な人間に相談しなければなりません。そこが難しいんでしょうね。

 

何より若者に自制を解くのではなく、セックスは「してもいい」ものだと肯定した上で、性感染症や避妊について、DVについて語るところがフェアでいいんですよね。とにかく「やるな」って言ってしまう大人も多いですから。

同時にセックスをしない人生、たとえばアセクシャルの人間が独身として生きる選択肢も提示していて、決して恋愛至上主義的ではありません。

 

どうも身の回りには「性」に関して複雑な思いを抱えている女性たちが多いので、そういう人たちがこの本を読むとほっとするのではないでしょうか。

いかがわしくなく、健全な「性」の話でした。