ブックワームのひとりごと

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高校生が神様の言うことを聞いていたら強迫神経症と摂食障害になった―もつお『高校生のわたしが精神科病院に入り自分のなかの神様とさよならするまで』

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高校生のわたしが精神科病院に入り自分のなかの神様とさよならするまで (コミックエッセイ)

 

あらすじ・概要

ごく普通の高校生の著者は、ある日神様の声が聞こえるようになった。神様の「〇〇を触れ」という命令に従うと、心が安らかになる。しかしそれに従っているうちに、どんどん命令は増え、食事まで禁止されてしまう。著者はどんどんやせ細り、家族との関係も悪化していく。

 

 

序盤が怖かっただけに快方に向かってくれてよかった

神様の命令によって生活が崩壊し、家族ともトラブルを起こし、自分自身すら信じられなくなっていく著者の姿がめちゃくちゃ怖かったです。

やっぱり強迫神経症は自分の常識が狂っていく病気なんですね。

病気によって特定の行動を繰り返してしまうことを「神様の言うことを聞く」と表現し、自分自身が生み出した神様に操られていく。精神科病院に入院するまではどうなるんだろうこの話……とはらはらしました。

 

こういう病気はすぐ家庭環境に結び付けられがちだけれど、漫画を読む限りは著者は極端に悪い家庭環境にあるわけではありません。ただ、「医者である親からのプレッシャー」とか「通っている中高一貫校の閉鎖性」とか「言いたいことが言えない内気な性格」とか、いろいろな要素が複合した結果強迫神経症・摂食障害として現れたのでしょうね。

 

精神科に入院したことをきっかけに、病気が快方に向かったのは本当によかったです。著者は入院によって「神様」が絶対ではないことを知り、同じ病気の人と接することによって初めて自分自身を病気であると自覚します。そこから「治す」という目標がやっと生まれて来ます。

さらに芸術系の学校に通って自分らしさを表現してもいいのだと気づき、精神的に落ち着いていく姿には安心しました。

序盤はかなりきつかったけれど優しい終わり方でよかったです。これからも健康に暮らしてほしいです。