あらすじ・概要
イギリスにおける名門寄宿学校、パブリック・スクール。何度もフィクションの題材にされてきたそれは、どのようにイギリス文化に影響を与えたのか。パブリック・スクールの始まりと発展をなぞり、現代のパブリック・スクール事情についても語る。名門学校からイギリスを見た一冊。
パブリック・スクールの共通したイメージはどこから来たのか
本屋でタイトル買いしたものですが、予想以上に面白かったです。
興味深かったのはイギリスの上流階級は「教養」をあまり重視していなかった過去があることです。大事なのは立ち振る舞いやスポーツであり、教養がないことを自慢すらしていました。漠然とイメージする「上流階級」とは全然違って驚きました。
パブリック・スクールを舞台にした小説をパブリック・スクールに通う若者たち以外が読んでいたのも面白かったです。通っているのは一部なのに、パブリック・スクール=イギリスの文化という発想はここから来ているようです。紹介されている小説も教訓的なものから、露悪的なものまでさまざま。それだけ人気のあるジャンルだったんだろうなあ。
総じてパブリック・スクールのすごさは歴史にももちろんありますが、「パブリック・スクール的なもの」と「そうでないもの」という区別がイギリス人の中にあるということなのかなと思います。社会の共通の認識がある。
この本は、その認識がどこから来たのか、どのように広まったのか紹介する本でした。
創作をやっているオタクには資料としておすすめです。寄宿学校をテーマにした作品は枚挙にいとまがないですからね。1冊持っておいて損はないと思います。