ブックワームのひとりごと

読書中心に好きなものの話をするブログです。内容の転載はお断りします。

ヤングケアラー、性別逆転夫婦、完治の幻想。最近読んだ、見た作品5つ(20211009)

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上野りゅうじん『ママのうつ病をなめてたら、死にそうになりました。』

双極性障害の母親と生活した青春時代を描くコミックエッセイ。

家族に迷惑をかけたくないのにかけてしまう母親の描写に自分自身を見てしまってちょっとつらかったです。本当にねえ、精神疾患真っただ中の時期は他人に迷惑をかけまくるから……。

作品の後半で福祉と繋がることができ、著者が完全に母親を恨んで暮らす展開にはならなくてよかったです。福祉というのは子どもが親を恨まずに済むためにも大事ですね。

しかし双極性障害を単に「うつ」とだけ説明したり、途中で薬をやめると危険なのにそれをしっかり説明しなかったり、医学的にはあまりよろしくない描写も多いです。誤解を受けやすい病気なだけに、そこはしっかり説明してほしかったです。

 

やまだあがる『男装女子と女装男子が結婚しました。』

女装する男性と、男装する女性が結婚して夫婦生活を送る話。

この夫婦はふたりとも、公的な場でははっきり自分の元の性別を告げ、場合によっては自分の元の性別として振る舞うこともあります。

他人にどう定義されるかはともかく、自分が自然でいられる格好でいたい、というのが強いのでしょうね。

実質的に男女の夫婦なので、見た目が逆転していても子どもを作ることを望んでいます。見た目と話してることのギャップがすごくて混乱してしまいました。

全体的に幸せそうでほっこりしました。癒し系エッセイ。

 

ひろのはこ『完治の幻想を捨てきれない病』

双極性障害Ⅱ型である自分の心の内をイラストと文でつらつらと描いたKDP。

「そうはならんやろ」という心の展開が多いんだけど、著者本人も自分自身が理屈に合わない心の動きをしていることを自覚しています。心ってのはつじつまが合わないことも多いんだよなあ……。

完治することで普通の人間になりたいという欲は、何らかの慢性疾患を持っている人にはあるものではないでしょうか。自分が普通でないことを受け入れられない葛藤が伝わってきました。

オチも展開もはっきりしないエッセイですが、その分本人の正直な気持ちが感じられるし、簡単に「治る」とか言う人間よりも好感が持てます。

 

百田ちなこ『地方女子の就活は今日もけわしい』

新潟出身の女性が東京で就活した過去を描いたコミックエッセイ。

いわゆる普通の就活をやったことがないので、こういう何気ないことでもコミックエッセイにしてくれると非常に助かります。

お金も時間もかかるし大変、それでも東京で働いてみたいという願望。語り口は明るいですが結構シビアな内容でした。

 

【クトゥルフ神話TRPG】ハロー、ヴィータ

オフ会で一緒になった人々が人工知能と出会って交流するシナリオ。

友達としてわいわい話すシーンが多くて癒されました。しかしBLを揶揄するようなネタが多いのでそういうの苦手な人にはつらいかも。


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