あらすじ・概要
「五年に一度の青い満月の夜、魔法使いが現れて夢を叶えてくれる」という伝説を聞いて、月を見に出かけたすみっコたち。そこで出会ったのは、五人の魔法使いたち。魔法使いたちは一晩一緒にすみっコたちと遊んでくれ、やがて魔法使いの世界へと帰っていった。しかしその末っ子であるファイブが、すみっコの世界に取り残されてしまい……。
なりたいものになれなかったとしてもあなたの人生は美しい
ものすごく自分語りで恐縮なんですが、この間仕事中にふと「私って全然なりたいものになれなかったな……」と思ってしまい、職場のトイレで泣いていました。
そんな私にこの作品のテーマはすごくタイムリーでした。
ファイブは魔法の奇跡がある世界に生まれたので、こうだったらいいなという「夢」の概念がわかりません。わからないゆえに、すみっコたちの夢に対してあることをしでかしてしまいます。その過程と解決に何だか安心してしまいました。
サトシが永遠にポケモンマスターになれないように、長寿コンテンツのキャラクターの夢は叶わないことが多いです。すみっコたちもご多分に漏れず、彼らのなりたいもの、叶えたい夢が作中で達成されることはないでしょう。
でもこの映画はその事実を悲しいこととは描きません。むしろ、なりたいものになれない今も、すみっコたちの生は尊く、誰にばかにされるものでもないということを伝えてくれます。
思えば「なりたいものになれた」と心から思える人は少数派で、大多数の人間は「こうありたい」という理想と現実の間で葛藤し続けています。すみっコたちの夢が叶わないからこそ、そういう人間に寄り添えるというのは目からうろこでした。
すみっコぐらしの映画は、欠けている存在を無理に完全にしようとしないからほっとします。普通とは外れた彼らが、世界の片隅に生きて友達作って生きているだけでちょっと救われるんですよね。
前作の「とびだす絵本とひみつのコ」のようにわかりやすく泣けるシーンがあったり、きっちり伏線を回収する話ではないのですが、メッセージはこちらのほうが好きです。今の私の感情にズバッとハマってしまいましたからね……。
今はとりあえずED曲のデータ買って来たい。