熊倉献『春と盆暗』
ちょっと不思議な短編集。
うーんあまりぴんとこなかったです。つまらないというより作者の語りに乗れなかった感じ。相性の問題ですかね。
犬養ヒロ『獣医さんが教える動物園のないしょ話』
元動物園職員の獣医が動物園で体験したことをコミカライズ。
情報は面白いんだけれど、動物のシモの世話や標本・解剖などの話を「気持ち悪いもの」として描いているのが気になりました。
それが一般人の素直な反応かもしれないんですが、私がもともと動物も動物園も好きだし、糞尿の掃除や死にまつわる仕事も大事な研究の一環だと知っているので「できないわ~」と言われるとむっとします。失礼でしょ。
この人人間の解剖医や下水道の職員にも同じ反応するんですか?
原案を書いている人のコラムの方が面白かったです。この方向性で本を出してくれたほうがいい……。
【龍如7】ヤクザと喧嘩しながら俳句詠んできた〔ゲームさんぽ/ヤクザ俳句-前編〕
ゲームのプレイを見ながら俳句を作るシリーズ、龍が如く編。
ゲーム吟行の面白さとは関係ないんですけど、私龍が如くのこのノリ苦手かもしれません。特定の層を揶揄する方向の下ネタだから……明るい下ネタは好きだけどこういうのはきつい。
でもプレイヤーは龍が如くが好きなんだなあと伝わってくる動画でした。それでいて、身内ノリはしないところが見やすいです。
【猟銃も季語】俳人たちから見たゲームの世界は、吟行の"穴場スポット"だった【ゲームさんぽ/RDR2 #1】
ゲーム吟行、開拓時代アメリカのアウトローゲーム回。
なぜゲーム吟行シリーズは治安の悪いゲームが多いのだろうか。
指名手配の写真が案外俳句に読み込まれる、という情報にちょっと笑ってしまいましたが何だかわかります。指名手配の写真には黒い詩情がありますよね……。
ゲーム吟行をすべて見た結果、「歳時記買おうかな……」と思い始めました。私は基本的に散文しか書かないけど、小説のタイトルとかには使えそうだし、季語。
詩歌に詳しくない人間に、そう思わせてくれた時点でこの企画は成功だと思います。
ぷろぺら『ぴんとこなーす 病院は今日もてんやわんや』
ナースの仕事風景を描くエッセイ。
あまりポジティブなネタがなく、愚痴っぽい内容も多いんですが、それだけナースという仕事の過酷さを表しています。
「白衣の天使」というイメージは覆されるかもしれません。
しかし病院を支えているのは漠然とした優しさではなく「プロ意識」や「職業倫理」なんだなあ……。と思える作品でした。
読んだからってナースの方たちに何かできるわけではないですが、彼ら彼女らの待遇がよくなる政策には賛成したい。