ブックワームのひとりごと

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エホバの証人を信じていた女性が棄教したその後―たもさん『カルト宗教やめました』

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カルト宗教やめました。

 

あらすじ・概要

母親が信じていた宗教、エホバの証人から抜け出し、新しい人生を歩み始めた著者一家。日常の変化に戸惑いながらも、ずっと教義の影響でできなかったこと、やりにくかったことを少しずつこなしていく。また、未だエホバの証人の信者である実母と義母のその後は……。

 

カルト宗教を信じる、それでも人間らしさを残した親

『カルト宗教信じてました』のボーナストラック的な巻で、前作を読んでいないとよくわからないと思います。

しかしながら、続編も読んでよかったと思える内容でした。

 

特に印象的だったのが未だにエホバの証人の信者である実母と義母との関係で、ふたりともエホバの証人をやめた著者一家につらく当たります。

しかし実母は自分の母親の葬式に現れ(エホバの証人は多宗教の葬式に参加してはいけないので、これはすごいこと)、義母には病気だった息子に親切にしてもらった、という恩ありました。

カルト宗教を信じているからといって、そこに全く愛がないわけではない。でも、中途半端に愛情が見え隠れするからこそつらいこともあるのでしょう。

この辺の描写は良くも悪くも人間らしかったですし、エホバの証人を信じる周囲をただの悪人として描かないところがよかったです。

 

カルト宗教を信じていたということはしなくていい苦労ですが、生きていくうえでそこに何か意味付けをしていく必要があったのだと思います。著者にとって漫画を描くことがその意味付けだったのでしょう。

 

著者は何かと「自分の絵は下手」と言うのですが、私はそうは思いません。この作品の終わり方なんてぞわっとしちゃいましたよ。でも安易に幸せに終わるよりはよかったと思います。カルトってそういうものなので。