ブックワームのひとりごと

読書中心に好きなものの話をするブログです。内容の転載はお断りします。

修道院から戻ってきた王女は王となるため成り上がりの男と組む―仲村つばき『ジギタリスの女王に忠誠を』

このブログには広告・アフィリエイトのリンクが含まれます。

ジギタリスの女王に忠誠を 修道院の王位継承者 (富士見L文庫)

 

あらすじ・概要

ふたつの家が王座を争い、ようやく王が決まったリカー王国。王女、マーガレットは修道院から還俗し、次の女王となるべく王宮へと来た。しかしそこは海千山千の者たちが集う場所だった。マーガレットは成り上がり者のエドマンドと協力し、もう一人の王位継承者ライオネルと対峙することとなる。

 

設定と関係性はいいけど後半はぐだぐだ

主人公が最初に出会うイケメン、エドマンドが既婚だったことにびっくりしました。いわゆる攻略対象かと思ってました。

エドマンドが既婚なところが象徴的ですが、この作品に甘さはほとんどありません。ライオネルに対しても、エドマンドに対しても、主人公が作中で恋愛感情を持つ描写はほぼありません。

その代わり男女の恋愛ではない信頼関係やややこしい感情は見られるので、そういうのが好きな身としてはおいしかったです。

 

序盤とキャラの関係性はよかったんですが、展開は後半になるにつれてどんどんぐだぐだになってしまいました。

伏線があからさまで読者にはかなり最初の方で黒幕がわかるのに、登場人物がそれに気づくのにちんたらしていてまだるっこしかったです。

それに窮地に陥ったマーガレットへの助け舟が唐突で、それは結局運でしかないのでは? と思ってしまうのがきつかったです。女性が王になって国を守るというテーマ上、そこは「彼女が道を切り開いたのだ」という実感がほしかったです。

 

とはいえキャラクターの設定や関係性が面白かったのでまあまあ楽しめました。クオリティは高くないのでおすすめはしがたいですが、個人的には好きです。