あらすじ・概要
ベストセラー作家、櫻島桜太郎の娘、桜。車いすの彼女を世話するように言いつけられている、学校司書の鹿島田は、とあるコンプレックスから桜にかかわろうとする。しかし彼女に怨念をもって彼女に近づいても、桜は何かを見透かしているようで……。やがて桜の秘密が明かされる。
図書館を舞台にした男女の巨大感情
男女の巨大感情だ! いい年して少女の桜に執着する鹿島田のどろどろした感情が、特徴的な絵柄も相まって生々しく迫ってきます。
一方で一種の耽美さもあり、雰囲気は随一のものを持っていました。本の匂いのする図書館、そこでペンを走らせる桜のように美しい少女……絵になりますね。
後半からは桜のいびつな生き方に、鹿島田が関わっていくことになります。
自分のためにしか書けない鹿島田と、誰かのためにしか書けない桜が、お互いのややこしい感情を乗り越えて同じ場所にいるのは美しかったです。
鹿島田は性格悪いし、正しくない男ですが、そういう人間だからこそ桜も彼に救われたのでしょう。
ただネタバレをしてしまうと、成人男性が少女に手を出す話なので、それが無理な人は無理だと思います。私はこの耽美な雰囲気と、「正しい話を書こうとしているわけではない」という部分で許してしまいましたが。
世界観やキャラクターの巨大感情がしっかりしている、美しい漫画でした。面白かった。