あらすじ・概要
大学生で考古学を学ぶ英一は、父親の遺跡捏造事件をきっかけに苦しみ、大学を辞めようとしていた。そんな折、英一の目の前にかつての幼馴染、明日香が現れる。彼女は10年前に死んだはずだった。再会に困惑しつつも、英一は明日香と埋めたタイムカプセルを探して故郷に帰る。
いいやつばかりで癒される小説
言ってしまえば「かわいそうな男が美少女に救われる」話で、普段はあまり読まないタイプの作品なのですが、読んでみると結構楽しめました。
まずメインの登場人物がみんないいやつで、優しいのに癒されます。英一の友人もかつての担任の先生も、本気で彼を心配し支えになってやりたいと思っているのが伝わってきます。
優しい人間同士の掛け合いも面白く、読んでいてほっこりする作品でした。
恋愛要素も、ほんのり好きだったのかな? とわかるくらいで、しつこくないところがよかったです。セクハラシーンもない。心穏やかに読めました。
ただ、明らかに思わせぶりに出て来た情報だったので「これは伏線かな?」と思った情報がことごとく伏線ではありませんでした。この辺をうまく回収してくれたらもっとポイントが高かったです。せっかく出した情報なんだから使わないのはもったいないです。
明日香の正体自体ももっとドラマチックに演出してほしかったですね。
構成にツッコミどころはあるものの、読後感はさわやかでいい作品でした。