あらすじ・概要
感情を抑圧しながら日々の仕事をこなす女性。いつか飼い猫と島で暮らすことを夢見ていたが、猫が行方不明になってしまい……。「猫がいない」を共通テーマに、女性たちの悲しくおかしく愛おしい日常を描く短編集。
だめな主人公に向ける優しいまなざし
主人公はみんな女性なんですけど、どの女性も大分だめなところがあって、情けない人たちです。
しかしその情けなさにリアリティがあって、「こういう人いるよな」「人生でこういう瞬間あるよな」と共感しながら読んでいけます。
欠点だらけの主人公でも、描き方はどこか優しく、だからこそ少し救いのあるエンドを迎えたとき安心しました。
個人的に好きなのは表題作「凪を探して」で、抑圧しながら仕事をしている女性の話です。仕事をしながら、ここは本当は自分のいるべき場所じゃない、だからいい子のふりをしてあるかどうかわからない「いつか」に思いをはせている、という主人公につい共感してしまいました。
でも、たとえ「いつか」があったとしても、今をちゃんと生きない理由にはならないわけで、厳しくも前向きなエンディングでした。
身体におかしなほくろができたことで人生を見つめ直す話「紬の一例」も面白かったです。好き勝手に生きていても、やっぱり死ぬのは怖いです。
あらすじだけ見ればただほくろを病院で見てもらうだけの話なんですが、それをドラマとして描けるのはすごいですね。
輝きたいけれどうまく輝けない、ちょっとコンプレックスを抱いた女性にはおすすめの漫画です。