あらすじ・概要
高校生、青はエロゲ製作者の叔父経由でライトノベルの下読みのアルバイトをしている。ある日、青はクラスメイトの氷雪がライトノベルの賞に応募していることを知る。それをきっかけに氷雪に話しかけた青は、氷雪の投稿作について相談に乗ることになる。ふたりが制作するラノベとは……。
よくできているけど好みに合わない
設定や文章、構成はよくできた作品だとは思うんですが、根本的に好みに合わない作品でした。
まず主人公はすごくいいやつなんですけど、いいやつ過ぎて「ただただヒロインに都合のいいキャラ」に成り下がっています。キャラクターとして深みがないんですよね。
どんな劣悪な作品だって楽しめるような人間がいたらそりゃ創作者にとっては嬉しいとは思います。好きになってしまうと思います。
でもそんな創作者を全肯定するやつがいたら逆に気味が悪くなってしまいます。読者に好き嫌いあってこそ選ばれるのが嬉しいんですよね。
あとヒロインの祖母が精神的虐待レベルにヒロインにつらく当たるのに、最後は「実はいい人なんだ」というオチに持っていくのもどうかと思います。誤解されやすいだけのいい人と設定するのならもうちょっと書きようがあるでしょう。
せめて「いい人なんだけど、でも……」くらいの描写で始めてほしかったです。
一方で、下読みの描写自体は面白かったです。作者は下読みの経験が豊富なようで、それをもとに書いたシーンは説得力がありました。
話自体は読みやすいし、読まなきゃよかったと思うほどではないですが、おすすめはしないですね。