あらすじ・概要
子どもたちが独り立ちし、夫婦ふたりで過ごすことが多くなった著者。子どもという共通の話題がなくなった間柄で、何を話せばいいのか……。ふたり暮らしの愚痴を交えつつ、夫婦で老いていくことを描いたコミックエッセイ。
愚痴を交えつつ、情を感じる作品
夫の愚痴ばかり描かれるのかな……と思ったら、人生を共にしたパートナーへの情が感じられる作品でした。
若いころのようにラブラブに振る舞えるわけではないけれど、ともに子育てをして生活をして、だからこそ抱ける感情があります。
もちろん一緒にいると嫌なこともあるから、適度に距離を取って自分の時間を大切にしていますが、「それでも一緒にいる」ということにちょっと救いを感じます。
これはあくまでエッセイだから、描かれていることすべてが本当とは限りません。でも愚痴を交えつつ、何気ない日常を優しく愛おしいものとして描いてくれるのは読者としても安心します。
私は漠然と老いというものを怖れていたけれど、人生の先輩がこういう話をしてくれると少し心が軽くなります。
特別なことが描かれているわけでもないし、パートナーの愚痴も含まれているけれど、それでも優しい作品でした。おすすめです。