ブックワームのひとりごと

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夫婦をテーマにしたコミックエッセイおすすめ10選

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結婚の予定がないのに夫婦もののコミックエッセイを好んで読んでしまいます。他人同士が家族になるということに興味があるのかもしれません。

今日はその中でおすすめのものをまとめてみました。

 

 

結婚式をすることになった夫婦のドタバタ劇『結婚式っておもしろい!?』

イラストレーターとデザイナーの夫婦が結婚した。結婚式はやらないつもりだったが、「あいさつ回りをしなくていい」という理由からやることに。しかしこれが、大きな困難の始まりだった。かさんでいく予算、席次決めや紙ものの準備にかかる時間、友人への余興の依頼。へろへろになりつつも「結婚式」まで駆け抜けた記録を描く。

「人はなぜつらい思いをしながら結婚式に凝ってしまうのか」ということがわかるのがいいんですよね。著者夫婦は最初はこじんまりした式を望みますが、出席者に年配の人が多くて「伝統的な式」を期待されている、どうせなら納得のいくドレスを着たい、余興やスピーチがないと間が持たない……などと思いどんどん豪華になっていきます。

これを読まないと「なぜ豪華な結婚式をする人がいるのか」ということを永遠に理解できなかったと思います。いい経験でした。

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楽じゃないゲーム実況の仕事を妻の視点から語る『パパはゲーム実況者』

ある日、夫がゲーム実況を仕事にしたいと言い出したら……。著者、トラちんの夫はゲーム実況者のガッチマン。ゲームし放題で楽しい仕事かと思いきや、期限までのクリアのために徹夜、高難易度ゲームを何度もやり直し、決して楽ではない仕事風景が明かされる。著者はそんな夫を見守る。

「ゲーム実況の人も結構苦労しているんだな」ということがわかります。寝ても覚めてもひたすらゲームをし続ける生活。メーカーとのコラボのためにひたすらプレイを練習して、イベントがあれば司会もやって、守秘義務のために今やっている仕事について話せないこともしばしば。

作者である妻としてもそんな不安定な仕事をしていることの複雑な思いがあり、面白く読みました。

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お金の管理が苦手な妻のためにシステムを整える『お金オンチ夫婦 借金500万からのビンボー脱出大作戦』

妻のリボ払いでの失敗を漫画にしたことをきっかけに、家庭の経済状況を改善する漫画を依頼された著者。ファイナンシャルプランナーと協力して工夫しようとするも、肝心の妻は乗り気ではなく……。しかしアイデアを実行していくうちに、夫婦は金銭管理を身に着け始める。

正直変にプライドが高くて、お金にだらしない著者の妻にはイラっとさせられることも多かったです。しかしクレジットカードと違って残金がすぐわかるデビットカードでお小遣いを渡したり、生活に必要な経費は家計から出してあげたりすることで、妻は少しずつ無駄遣いをしないようになります。

この家庭には救われるものがありました。お金の管理ができないならシステムの方を変え、管理しやすくしてあげる。自力でできることもあると気づけば、家族の自尊心を傷つけることなく状況を改善できます。

この本は発達障害向けのテーマではないんですが、発達障害の人や周りの人が読むといいかもしれません。金銭管理のしやすいシステムを提案してくれます。

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不妊治療をする夫婦の心の揺れ動き『不妊治療やめました~ふたり暮らしを決めた日』

子宮筋腫をきっかけに、子どもを作ることを決意した漫画家夫婦。しかし妻のかよは、子どもができにくい体質だった。一度の流産を経て、人工授精という西洋医学から、東洋医学漢方の漢方も試すが、結果は芳しくない。やがて体外受精しかないという結論に達するが……。

つらいシーンが多く、それほどページが多くないのに休み休み読んでしまいました。自分は子どもができにくいと知った日、せっかく妊娠したのに流産をした日、医師に高圧的に接せられた日……。「子どもがほしいがなかなかできない」という夫婦の、不妊治療によって揺れ動く心が丁寧に描かれていました。

子どもがほしい人が不妊治療を受けるのだから当たり前なんですが、不妊治療は生殖至上主義になりがちです。でもふたりで生きていくこともできるし、何なら養子をもらうこともできます。選択肢が必要なんだよなと思う作品でした。

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不倫されて慰謝料を請求した人たちにインタビュー『慰謝料上手にとれるかな?』

家庭を壊す、伴侶の不貞。やりきれない気持ちを整理するため、罰を与えるため、せめて慰謝料は取りたい。自らも夫の不倫相手から慰謝料を取った著者が、「慰謝料を請求した人たち」にインタビュー。その怒りと悲しみ、慰謝料を取るためのテクニックを聞き出す。

テーマ的に下世話な話題ではあるんですが、不倫というものがどれほど家庭を壊し、夫婦の信頼を損ない、金銭的にも悪影響を及ぼすということがよくわかりました。

大事なのはお金の問題ではないんですよね。お金を通して、不貞をしたことを心から後悔させたいということなんですよ。

この作品、だいたい不貞をした人間がひどい目に遭うので、因果応報ですっきりします。特に最後の著者の慰謝料請求記録は面白かったです。めちゃくちゃ怒ってるのがよくわかります。でも、ここまで戦略的に怒れる人はなかなかいないです。

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ある日妻が乳がんになったら『ちびといつまでも ママの乳がんとパパのお弁当と桜の季節』

イラストレーターの柏原昇店。彼の妻が、乳がんであることがわかる。夫婦は、戸惑い悩みながら、抗がん剤治療を選択。つらく厳しい闘病生活が始まった。夫の視点から乳がん治療を描くコミックエッセイ。

漫画としては文字が多いのでちょっと読みづらいですが、その分情報量は多いです。がんとは何か、がんのステージの話、お金やもらえる支援のこと、それらが監修入りでがっつり書かれているのでがんについて知らない私にとってはありがたかったです。

あまりに壮絶な抗がん剤治療が読んでいてつらかったです。著者の妻は1週間に一度抗がん剤を入れます。薬剤を入れると数日起き上がれず、食べ物も口を通らず、子どもの面倒を見ることもできない。治療には必要なこととはいえ、体に毒を入れて毒を制すような方法です。

著者自身も、子どもを三人抱えながら仕事をし、家事をこなし、妻の看病を行う生活に疲弊していきます。やっぱり闘病はその人個人の問題ではなくて、家庭の問題ですよね。最後は救いのある終わり方でよかったです。

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理系の夫の合理的すぎる夫婦生活『理系クン 夫婦できるかな?』

理系の男性と結婚した著者、えり子。一円でも安く買うために買い物に夢中になり、料理になると解説がなければ動けない。しかし彼は持ち前の論理的思考で日常を改善していく……。

まず夫、N島さんが論理的に家事を考えていくのが面白かったです。家事を分担するのはどちらかが倒れたときリスクを軽減するため、料理には上流工程が存在する、見えないコストを考える……。

わからないことを自分の知っているものと置き換えて試行錯誤するところがほほえましいです。そしてN島さんに説明されると、「なるほど!」と思うんですよね。もうN島さん「理系向けの家事ハンドブック」を出版できるのでは……?

私としても感覚で説明されるより、理屈できっちり解説してもらえる方がわかりやすいです。N島さんの家事マニュアル読んでみたいですね。

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がんになったのほほん亭主を支える妻『のほほん亭主、がんになる~ステージⅣから大逆転~』

突然がんを告知された夫。妻である著者は、不安を抱えながらも闘病する夫を支える。がんについて情報を調べ、それから抗がん剤治療の開始。お金や保険の手続きをこなし、同居する姑と家事をやりながら、夫とともにがんに立ち向かっていく。

がん関連のエッセイには必ずと言っていいほど告知された時の葛藤が描かれているんですが、この作品では著者の義母、つまり姑もショックを受ける様子も描かれています。「いくらかかってもいい! 最新の治療を受けさせてもらいなさい(P14)」としっかりしたことを言いつつ、次の日は泣きはらした目で起きて来ます。その気丈さに少し泣けました。

がんの治療としてはうまくいったケースであり(そうでないと漫画になりませんが)、患者である夫がタフで明るいので内容はあまり暗くありません。不安を抱えつつも、抗がん剤治療で髪の毛が抜けてもけろっとしていて、食欲がなくても一口でも食べようと試みます。みんながこういう風に立ち回れるわけではないでしょうが、読む側としてはほっとする描写でした。

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性別を変えた花嫁が結婚するまで『花嫁は元男子』

結婚し妻になった著者。彼女は実は、男性として育っていた。自らの幼少期、性別移行をするまでの過程、性別適合手術を受けたときの心の揺れなどを、四コマ漫画とページ漫画で語る。

結婚式では元男なのでビデオで過去の写真を使えなかったり、元男だと知っている親戚の小学生たちの存在に頭を悩ませたり、準備期間も面白かったです。

そしてセクシャルマイノリティ同士の不和、偏見についても少し触れられていて、少数派同士ならうまく行くわけではないのだな、と再確認しました。

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花嫁は元男子。

花嫁は元男子。

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コミュニケーションが苦手な夫婦が暮らすコツ『僕と妻の場合―僕たち夫婦が仲良く暮らしている理由』

漫画家の著者は、外に働きに出ている妻と暮らしている。家で仕事をする中で、夫婦が仲良く暮らす工夫とは……。「コミュニケーションが苦手」なふたりの大人が、試行錯誤の末手に入れた平穏な生活を描く。

著者と妻は、まめに感謝を口に出したり、つらいことがあると内容を丁寧に説明したり、とにかく「言わなくてもわかってもらえる」という甘えを排しています。そうすることで、コミュニケーションのコストを下げています。

言外の意味が分からない人間としては、こういう風に生きられたら楽だろうなとうらやましくなりました。もちろんお互いの協力は必須ですが、言葉をまめに交わすことによって将来の軋轢を減らしているところがすごい。

そして、実際に実行できそうなところから書いてくれるところもわかりやすいですね。漠然と、「コミュニケーションを取ろう」と言われてもどうしていいかわかりませんから。

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以上です。興味があれば読んでみてください。