ブックワームのひとりごと

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徹頭徹尾思想が子どもっぽくてどうかと思う―相沢沙呼『小説の神様』

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小説の神様 (講談社タイガ)

 

あらすじ・概要

学生で作家デビューしたものの、その後鳴かず飛ばずの「僕」は、同じ学生作家である小余綾詩凪と合作で小説を書くこととなる。うじうじ悩みがちな主人公と、プライドが高く口が悪い詩凪。ふたりは対立を繰り返しながらも作品を作り上げていくが……。

 

プロがこういう話を書くのはどうかと思う

これがぽっと出のアマチュア作家が書いたものならとやかく言いませんけど、プロの作家が書いたものとしては本当にどうかと思います。読者をナメている上に、自己陶酔がひどすぎます。

 

この作品の前提として、テンプレ批判、ありがちな流行設定への批判があるんですが、その批判が何にも骨がなく薄っぺらいんですよね。

私だってチートや転生ものは嫌いだし、あまりこのブログで紹介はしていません。が、私の好き嫌いとは別として、そういうテンプレ作品を書いている人だって真面目に面白いものを書こうとして書いてるんですよ。クオリティはどうあれその努力自体は否定される筋合いはありません。

それにテンプレが存在するということは、その中での競争がめちゃくちゃ激しいということでもあります。面白いと思ってもらうのに楽な道なんてないんです。

作品の中で何かを批判するなら、もっと腹をくくって、ちゃんと自分のエゴではない内容にしていただきたい。

 

あと「ビジネスとして文章を書くこと」と「拝金主義」を混同しているのもどうかと思います。お金をもらって書く限りは「読んでよかった」と思えるものを書く努力をするのは当たり前のことでしょう。自分の書きたいものを信じるとかそういう精神論で生きていけるならそれこそライター全般への侮辱ですよ。

 

本当に思想が子どもっぽくて不愉快なんですけど、こういう話をプロが書くことを「ロマンチック」だと思う人がいるんですかね? 不思議です。